名曲の森09  
 

昨年秋からの世界的大不況の影響で、日本の経済も凋落の一途です
今年には衆議院選挙もひかえていて大きな変化の年になることは確かです
リストラや収入減と、庶民には厳しい一年になりそうですが、
こんな時こそ大好きな音楽を聴いて心穏やかに過ごしてゆきたいものです 
音楽にはそんな”力”があると信じています


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シベリウスのある部屋  演奏会の思い出

【メニュー】
1・天使の歌声ヘイリー 2・ニューイヤーコンサートを見逃した 3・ゆううつな春 4・カラヤンのDVD 
5・新しいコンポ6・山の上で聞きしこと  7・マンハイムのクラリネット協奏曲 8・ワルターの新世界交響曲 
9・ハイドンの交響曲全集を買いました 10・もしも運命がこんな曲だったら 11・ハイドン没後200年 
 12・辻井伸行クライバーン・コンクール優勝 13・辻井伸行のフーリーング音楽 14・ヘンデル没後250年 
 15・名曲探偵アマデウス、失踪か? 16.オーケストラの主役 17、サティ〜ピアノの詩人? 18、おもちゃの交響曲 
19、たて笛の魅力 20、モーツァルトとウェバーは親戚か? 21、あふれる涙〜白鳥の湖 22、ホルスト:組曲「惑星」
 23・名指揮者のリハーサル
 24・白い色は恋人の色  25、メロディスト・ドヴォルザーク  26.小夜曲の思い出
 27、フレンチポップスの魅力 28、紅とんぼ〜忘れられない女(ひと) 29、もしも明日が晴れならば 

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初めてでも名曲を楽しく弾ける練習法があります。

1・天使の歌声ヘイリー

2009年も明けました。今年もよろしくお願いいたします。
お正月そうそう 世界的な景気不振の影響で日本も不景気の波がひたひたと襲って来ていますね。波乱が予想されるこの一年ですが、何とか平和で明るい年になって欲しいものです。

この私も昨年は収入がガタ減りし、のんきにHPを書いていられなくなってきております。でも焦っても仕方ありませんね。収入にあった生活をすればいいことで健康で過ごせることに感謝しようと思っています。

こんな時にニュージーランドの歌姫「ヘイリー」が歌うカッチーニの「アヴェマリア」と出会いました。初めて聴いたとき、「なんという穢れのない澄んだ歌声だろう・・・・」と感動してしまいました。今年21歳の女性で経歴を見ると正式に声楽の勉強をしたことがないそうです。持って生まれた天性の美声と絶対音感の持ち主だと知りました。

全く無理のない自然な発声からくる爽快感は今までに味わったことのない感覚でした。この曲を聞いたとたん、私はすっかり虜になり、リリースされているCDを全て購入したほどです。
これにはポップス曲あり、マオイ族の伝承曲あり、またクラシックの名アリアなども収録してあります。

この暗い世の中を明るく照らしてくれるような「天使の歌声」を毎日聞いて過ごしています。皆様も一度「ヘイリーのアヴェ・マリア」をお聴きになってください。きっと心が癒やされるだろうと信じています。【ページトップへ
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2・恒例のニューイヤーコンサートを見逃した

一月も早くも半分過ぎてしまいました。本当に時間の過ぎるのは早いものですね。私にとって
今年のお正月ほど普段の日々と変わらないお正月も珍しかったです。子供のころは、お正月が待ち遠しくて大晦日から、たった一日過ぎただけなのに元旦は何か神々しく町の景色も変わって見えたものです。

着物姿の女性の晴れがましい表情も、一張羅でうきうきしている子供たちもみんな輝いて見えました。歳をとったせいでしょうかこんな新鮮な気分も全くなく、大晦日も元旦も普段とほとんど変わりません。変わったのは一歳年をとったということだけでしょう。こんな元旦だったので初めてテレビでのニューイヤー・コンサートを見ませんでした。というか見逃してしまいました。その原因としてNHK衛星放送では実況がなく教育テレビのみの放送だったからです。こんなところにも経済不況が影響しているのでしょうか。

今年はバレンボイムの指揮だったそうですが、それも話題と新鮮さに乏しいものでした。もっと若手であっと驚くような指揮者を出して欲しかったですね。
                ・・・・・・・・・・・・・・・・・
このところの冷え込みも厳しく、この一年の経済の厳しさを暗示しているようです。昨年の12月には選挙もあり、心機一転新しい気分で迎えられる2009年だったはずなのに、選挙もなく景気も冷え込み、自民党の支持率は低迷の一途です。

最近は世界同時不況の暗い雰囲気が漂っていて、なぜか気分が落ち込み気味です。

こんな暗い気分を吹き飛ばしてくれるウィンナ・ワルツのニューイヤーコンサートを聞き逃したというのは私にとって痛恨の極みです。
来月には実況のCDがリリースされるでしょうから、買ってじっくり聞くことにしましょう。
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3・ゆううつな春

長い間HPの更新を怠っていました。早いものでもう3月になります。今年は仕事の量が減り、収入も昨年に比べて相当悪くなりました。ゆっくり音楽を聞いてその感想をHPに書くひまと心の余裕がありませんでした。桜も咲きだしたというのにゆううつな春です。

個人的には、今年の一月から私の周りの大事な人が何人も重病にかかり、余命何ヶ月という人もいます。お見舞いに出かけては涙、夜思い出しては涙、と相当辛い日々が続いています。

それに今年に入って、何年もメールをやり取りしていたクラシック・ファンの方とも音信不通になっているのです。こちらからの連絡にも返事がなく、何かあったのだろうかと心配しております。

その他東京のアマチュア・オーケストラのヴァイオリン奏者や大阪のヴィオラ奏者の方々とも連絡がなくなりました。お元気でおられることをお祈りするばかりです。
このHPの感想などもよくいただいていたので更新する励みになっていたのですが、いざなくなるとぽっかり心に穴が開いたようでさびしい限りです。・・・・皆様!お元気でいらっしゃいますか!

こんな時こそ音楽で気を晴らせればいいのですが、音楽を聞いていても上の空で何を聴いたか思い出せないような状態です。軽い「うつ」の状態に陥っていたのかも知れません。

気候もよくなり今日の夜、久しぶりに仕事をしながらチャイコフスキーのくるみ割り人形を聞きました。屈託のない幻想的な音楽になぜか心が癒やされたような気持ちです。
それについで、今はアルゼンチン・タンゴを聴いています。

外では春の雨が静かに降っています。雨音を聞きながらの音楽鑑賞は、とても久しぶりのような気がします。

少しづつ音楽療法で元気をつけようと思っています。明日は土曜日なので、天気がよければモーツァルトの交響曲でも聴こうと思っています。雨ならベートーベンです。別に理由は無いけれど・・・・。
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4・カラヤンのDVDを見ました

カラヤンのベートーベン英雄交響曲を久しぶりに聞きました。カラヤンはベルリン・フィルから完璧な演奏を引き出していましたが、レコードやCDで聴くより実際の映像を見るとその素晴らしさが倍増します。

この映像では終始目をつぶって、ひたすら陶酔しているような表情で指揮をしていますね。
音楽を全て暗譜で演奏しています。楽団員とのコミュニケーションがこれで取れるのかしら?と思ってしまいますがこれは映像用の姿で実際には目を開けて指揮していました。(当たり前ですが)
それにしてもカラヤンは徹底した”ナルシスト”ですね。これほどまで徹底的に自分を映し出すことはないだろうと思いますが、カラヤンにしては当たり前のことなんでしょうね。

そんなにカラヤン・ファンでもない私は、もうちょっと楽団員をきちんと映して欲しいなあと思いました。
名手の揃った楽団員のテクニックをじっくり見たいものです。

リハーサル風景を以前放送で見ましたが、練習の時は決して目をつぶることなく、甲高いだみ声で細かい指示を楽団員に与えています。(余談ですが、映像で見る優雅な姿からは想像できないほどの悪声でちょっとがっかりしたのを覚えています。バーンスタインの低音の美しい声とは大違いでした・・・・。)

それにしてもカラヤンの指揮姿は美しいですね。まるで糸を紡ぐように音をコントロールしています。音だけで聴くより映像で見るともっとこの交響曲が素晴らしく聴こえます。(写真はプライーベート飛行機の前で。本当にかっこいい指揮者でした)
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カラヤンの遺産 ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」ベルリン・フィル創立100周年記念コンサート [DVD]

5・新しいコンポは素晴らしい!

今年の春、久しぶりに新しいコンポを買ったので音楽を聞くのが楽しみになりました。
(といってもオークションで安く手に入れたのですが・・・。)

以前のは大きすぎるし、あちこちが故障していたのでじっくり聞くことがなかったのですが、さすが製造が新しいのは全ての音がクリアーで潤いがあります。

昔持っていたオーディオコンポはアンプ、スピーカーCDデッキ、カセットデッキ、レコードプレーヤーと別れていて大きいし、値段も数十万もしましたが、こんなに高価でも性能を発揮できる音量も出せないし、ラジカセと変わらないような音量で聞いていたのではもったいない限りでした。

故障も出てきたのでこれらを全て、昨年リサイクル店で全て処分しました。おかげで部屋が広く使えます。

今度のはCD,MD,チューナーのみのミニコンポですが、値段も安く小さいので信じられないほどのコスト・パフォーマンスの良さです。

小音量でも音の粒立ちが明瞭でまるで目の前で演奏しているように聴こえます。私の大好きなクラシック音楽には最適なコンポです。

オークションでいろんなコンポを落札して聞きましたが、そんな中で私の好きなバロック音楽が最もきれいに聴こえたのがこの「オンキョー」のコンポでした。スピーカーはデンオン製のがぴったりでした。

雑音の多かったFMチューナーもほとんど雑音もなくCDのようなクリアーさです。さすがに老舗メーカーのオンキョーです。最大20ワットほどの小さいものですが豊かな低音とのびやかな高音は他社のを圧倒していました。もちろん何十万もするセパレートコンポとは比べるべくもありませんが、この値段と非力な出力からすると驚異的なコスト・パフォーマンスの良さです。今まで。いろんなメーカーのコンポを試しに聞いてきましたが、このコンポが今の私のライブラリーには最適です。

これで、また音楽ライフが楽しくなりそうです。【ページトップへ

6・山の上で聞きしこと〜リスト:交響詩第1番

今朝はどんよりと曇っていてうっとうしい天気ですが、昼過ぎには突然真っ暗になり雷がなりだしました。それに連れて雨が大粒になりまるで夕立のような様相を呈しています。外が暗く雨が降っているので、今日はいつもは聞かない音楽を聞こうと思ってCD棚から選んだ曲は「リスト:交響詩第1番山の上にて聞きしこと」という音楽でした。全曲28分もある堂々たる大作です。

なぜこれを選んだか自分でも分からないのですが、曲名が哲学的でリストが山の上で何をどのように感じたのかが知りたくなったのかも知れません。リストがベルリオーズの標題音楽を手本にして、単一楽章からなる「交響詩」という新しい音楽形式を創始した最初の音楽というのも聞いてみたいという理由でした。

リストは交響詩を全部で12作曲しており、そのほとんどが触発された「詩」や英雄物語が題材になっていて音楽も外面的な派手さは影をひそめ、内容の濃い哲学的な音楽が多いのが特徴です。若い頃「ピアノの魔術師」といってもてはやされた美男子の面影は全くない、思索的な音楽に驚くはずです。

今日は、雨の一日、リストが山上で聞いたという言葉に耳を傾けようと思いました。CDは輸入盤でどのような内容の音楽かは分かりませんが自分なりに想像を働かせて音楽を聞くというのも楽しいものですね。
約30分もの大作を聴き終えた頃、空もだいぶ明るくなり雷鳴も遠くに聞こえるだけになりました。私には山上どころか地上で聞きしことは「雷鳴」だけでしたがリストはこの音楽にどのようなメッセージを込めたのでしょうか。

なお交響詩の第3番は有名な「レ・プレリュード」です。「人生とは死で始まるドラマの前触れに過ぎない」とする「詩」に触発された音楽はリストの代表作になっていますね。
この音楽がお好きな方はきっと他の交響詩にも魅力を感じるはずです。

機会があればどうぞ聴いて見て下さい。お薦めします。【ページトップへ
リスト:交響詩全集(5枚組) リスト:交響詩全集(5枚組)
リスト アルバード・ヨー ブダペスト交響楽団

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7・マンハイムのクラリネット協奏曲

このところの蒸し暑さで、音楽どころではありませんね。ましてやベートーベンなど熱い音楽はちょっと敬遠気味です。・・・・こんな時は清涼感のある爽やかな音楽が聴きたいものです。

ということで選んだ曲はバロックから古典派へと橋渡し的な時代に活躍した、シュターミッツ他のクラリネット協奏曲を聴きました。17世紀の後半から18世紀の初めのドイツのマンハイムの宮殿で日夜音楽に明け暮れていた作曲家たちの作品です。
 
マンハイム楽派とは・・・、18世紀ドイツのプファルツ選帝候のカール・テオドール(1724〜99)のもと活躍した作曲家たちを指す。ここの首都がマンハイムであるため、こう呼ばれる。オーストリア継承戦争及び七年戦争後の30年この地が平和になったことにより、カール・テオドールは宮廷収入の7パーセントをオペラとオーケストラにつぎこみ、楽団の規模の拡大と質の改良に努め、ヨーロッパ最高の演奏家や作曲家の多くを招いた。】

シュターミツがコンサートマスターの地位にあった1756年のオーケストラの規模は、楽団員が50名近く在籍していて、おそらくヨーロッパで最も大きいオーケストラであったでしょう。そして初めて、クラリネットを正式にオーケストラに採用したのもこのマンハイムからだとされています。マンハイム楽派が交響曲を発展させて行ったのがよく分かります。
この地を訪れたモーツァルトがマンハイムのオーケストラの楽器編成に感銘を受けて、その後、管楽器を充実させた交響曲を作ることになります。(交響曲29番)

また、この時代は(新しい楽器である)クラリネット協奏曲が多く作られダンツィ、シュポア、シュターミッツなどが何曲も素晴らしい協奏曲を作っています。音色に深みがあり、音程が安定していて他の楽器との調和も美しいこの楽器の特徴を表した傑作がたくさんあります。21世紀の今聴いていても耳を刺激しないまろやかな音色は、爽やかな清涼感さえ湛えています。

それにしてもクラリネットの音色って本当に美しいですね。オーケストラの中に埋没するかと思えば、突然ソロとして姿を現し、またスッと消えて行きます。こんな「ワザ」はフルートにもオーボエにも出来ません。クラリネット協奏曲こそ、この暑い夏に聴くには最もふさわしいのではないでしょうか。【ページトップへ
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*Sergio Pires (cl)/シュターミッツ:クラリネット協奏曲
 


8・ワルターの新世界交響曲

今日はなぜか新世界交響曲が聴きたくなりました。
CDの棚を見ながらどれを聴こうかな?といろいろな演奏のCDをステレオにかけて見ました。ヤンソンス指揮オスロ・フィル、ケルテス/ウィーンフィル、クーベリック/ベルリンフィル、と順に最初の所だけをかけて見ました。

どれも、今日の気分にしっくり来ないので、最後にワルターの指揮のCDを聴いてみました。
1959年の一番古い録音盤でしたが、最初の一音からなんともいえない「郷愁」と「やさしさ」がにじみ出ていて・・・あぁやっぱりワルターはいいなあ・・・と思ったのです。

音に潤いがあり、ゆったりしたテンポも心地よく曲全体に漂う優しい感情は、この交響曲にぴったりです。とくに「家路」と題されている第2楽章はまるで夢の中を歩いているようです。

19世紀の雰囲気を持った大指揮者、ワルター晩年の優しい気持ちがこんな美しい演奏になったのでしょう。また敬愛する指揮者ワルターのために集まったアメリカの音楽家たちが心を込めて演奏しているのを感じます。

ナチスに追われてアメリカに亡命したワルターと、故郷を遠く離れてチェコの故郷を思って作曲したこのドヴォルザークの「新世界」という作品には、心の奥深いところで大きな共感があるようです。
モーツァルト、ベートーベン、ブラームス、そしてマーラーとドイツ、オーストリーの音楽が得意だったワルターが良くぞドヴォルザークを録音してくれたものだと、感謝したい気持ちです。
第8番と新世界交響曲のたった2曲だけでしたが、そのどちらも80歳を超えた老人が指揮しているとは信じられないほどのロマンティックで力強い演奏になっていました。

若手のかっこいい指揮者がうわべだけきれいな演奏をするのとは、全く違う内面からの強い共感が聴くものを感動させるのだと思っています。

若い頃、このワルターの新世界交響曲が大好きでレコードを何度も何度も繰り返し聴いたものです。
特にこの演奏は、第4楽章の最後の木管楽器の合奏で静かに終わるフェルマータのところは音がいつまでも続くような独特の余韻がたまりません。・・・私はいまだに、この演奏が一番好きです。【ページトップへ
ドヴォルザーク:交響曲第8番・第9番「新世界より」 ドヴォルザーク:交響曲第8番・第9番「新世界より」
コロンビア交響楽団

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9・ハイドンの交響曲全集を買いました

とうとう念願のハイドンの交響曲全曲CDを買いました。
アンタール・ドラティ指揮フィルハーモニア・フンガリカの演奏で、なんとCD33枚組です。値段は驚きの6,990円でした。こんなに廉価で手に入れる事が出来たなんて夢のようです。

これは69年から72年までの短い期間に集中的に録音された史上初の交響曲全集でした。LPレコードの時はとうてい学生では買えない値段になっていましたし、CD化された分でも発売当時は8万円くらいだった記憶があります。いつもカタログを眺めてはため息をつくばかりでした。

今では輸入廉価盤のブリリアントがアダム・フィッシャー指揮のCDが1万円前後で売り出している事もあり、この全集も庶民に手の届くところまで安くなってきました。

私はハイドンが大好きで、いろんな指揮者で揃えてきましたが、どうしても有名曲に集中し一度も聴いたことのない曲が何曲もありました。そんな曲も聴いてみたいと思い、先日は思い切ってこのCDを買ったわけです。

ハイドンが今のハンガリーの出身とあってハンガリー人のドラティとハンガリーから亡命した音楽家で編成されたオーケストラでハイドンへの共感と愛情にあふれた熱演は今でも充分に伝わってきます。小編成のオーケストラが奏でるきびきびしたテンポとドラティの現代的な感覚は40年以上前の録音にもかかわらず、古めかしさを全く感じさせません。

また、ホルン・セクションの腕の確かさは他の演奏を凌駕しています。この録音にはホルンの魅力的な音色が鮮明に記録されていて耳に心地よく残ります。

毎日第1番から順番に聴いていますが、子供の時に書かれたモーツァルトの初期の交響曲のようにたわいもないのではなく、最初の交響曲からもう既に充実した作品だというのが理解されました。どの曲も名匠の手になる確かな技術に裏づけされた佳作ばかりなのも驚きです。

全曲聴き終えるまで何日かかるか分かりませんが、音楽を聴く楽しみがまた増えました。【ページトップへ

ドラティ/ハイドン交響曲全集/33CD 

オンラインセール価格:6,990円(税込)

10・もしも”運命”がこんな曲だったら・・・

今朝のテレビ「題名のない音楽会」はとても面白かった!《もしも運命がこんな曲だったら》というテーマで、実際にオーケストラを使っていろいろ実験してくれました。

あの有名な「ダダダ・ダーン」が始まる前に8分休符がついているのですが、これがなかったらどんな風になるか?とか 本来この部分はユニゾンで弾かれるのですがもし和音になっていたら?や 全楽器が奏すればどんな風になるか・・・? など運命が好きな人なら堪らない企画でした。

これらの疑問を実際のオーケストラで演奏してくれましたが、結局は間の抜けた「運命」とはいえないような変な音楽になってしまっていました。
 
改めてベートーベンの作曲技法の見事さに思い至ったわけです。

このほか、今話題の指揮者「金聖響」指揮によるベートーベン時代のオーケストラの配置や当時の楽器演奏の考察を取り入れた演奏も披露してくれて、たった30分の番組でしたが内容の濃い素晴らしいものでした。

1964年に始まったこの番組はもう45周年を迎えるそうですね。クラシック番組がこんなに長く続くこと自体が奇跡に近いものがありますが、毎回新しい企画を考えてくれるスタッフの皆さんの努力に頭が下がります。
そして司会者が佐渡裕氏に変わってから一段と面白さがアップしたように感じます。番組が50年、60年とどんどん続いていってくれることを願っています。(ページトップへ


11・ハイドン没後200年

今年に入って、ハイドンの新録音CDがリリースされたり、または過去の録音盤が大幅に値下げして再発されているので「なぜだろう?」と思っていましたが、今年はハイドン没後200年になるんですね。気がつきませんでした。

だから、昔のLP盤が6万円以上もしていた「ドラティ指揮」の交響曲全集が1万円足らずで買えたり、フィッシャー指揮のブリリアント盤も同じような値段で買えたのです。

1732年生まれで1809年に亡くなったので、ちょうど200年になります。この記念イヤーのおかげで長年の垂涎の的だった交響曲全集がこんなに安くなったのは嬉しい限りですが、今度はレコード会社の経営が成って行くんだろうかと心配にもなります。

さて、私もこの恩恵にあずかってドラティ指揮の交響曲全集を楽しんでいますが、ハイドンの交響曲は実に変化に富んでいて聴くものを飽きさせることがありません。長年エステルハージ公爵に仕えていたこともあって、その宮廷に集う音楽的教養の高い聴衆を満足させる作品を提供するという「ノルマ」を課せられていたため、どんな曲でも一工夫変化に富んだ独自の手法があるのです。

旋律と和声の個性、楽器編成の妙味、そしてはっとさせる展開の意外性。これらの要素を含んだ交響曲は古典派という規制のなかで自由に発揮されているようです。
だから、これに気づいた聴衆(CDリスナー)は魅了され続けるのでしょうね。ひとたびハイドン・ファンになってしまえば104曲の宝を得たような幸せな気分になれます。

今の私は全くそういう心境で、毎日新しく出会う交響曲にワクワクしています。

今日はやっと40番代に突入してきました。このころ文芸運動の「シュトゥルム・ウント・ドランク(疾風怒濤)期」があり感情表現が劇的になったのが特徴です。壮年期のハイドンの生気あふれる交響曲がふんだんに聴けることが最高に幸せです。(ページトップへ

12・祝!辻井伸行ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール優勝

今日(6月9日)、ニュースで日本人・辻井伸行氏がヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝したというのを知りました。日本人では初の快挙でした。

これだけではそんなには驚かないのですが、彼は生まれつきの盲目というハンディがありながら、健常者と同じ土俵で戦って優勝したということに何物にも代えがたい価値があると思います。

テレビで彼の生い立ちを紹介していましたが、それによると・・・生後8ヶ月のときショパンの英雄ポロネーズを聴いている時が最も機嫌が良かったそうです。それもブーニンの演奏でなくてはダメだったとか・・。他の演奏に変えるとすぐに機嫌が悪くなったそうです。天才こそ真の天才を知る、ということですね。
また彼が2歳の時、母親が口ずさんでいたジングル・ベルの歌に、あわせてベビーピアノで演奏したということです。それも十本の指で・・・。このとき母親は赤ん坊の後ろに光を見たと言っていました。

まさに神に選ばれた神童ではありませんか。目が見えないというハンディを乗り越えて世界的なコンクールで優勝するなんて、本当に想像を絶する努力があったのでしょう。またここまで支えてきた両親や音楽の教師に頭が下がる思いです。
彼の今後の活躍が大いに楽しみです。  (ページトップへ

13・辻井伸行のフィーリング・サウンド

うつらうつらと惰眠をむさぼっていた早朝、夢の中でどこともなく美しい音楽が流れてきました。あまりにも美しいのでしばらくは聴き入っていました。

そのうち、夢から覚めて周りの様子が分かってきたのですが、ちょうどテレビのニュース番組で辻井伸行氏をゲストに招いて、彼の作曲した「ロックフェラーの天使の羽」というのを生演奏していたところだったのです。

隣の部屋で家族が見ていたテレビから流れてきたその音楽は、天国からの音楽のようでした。
隣の部屋からのささやかな音量の為でしょうか?それとも彼のピュアーな心が癒やしの音楽を作らせたのかわかりませんが、本当に気持ちがよかったことは確かです。

クライバーンコンテストで優勝したということは人並み外れた才能の持ち主だとは証明されていますが、(その後 彼を紹介するテレビ番組で知ったことですが・・・・)
コンクールの期間中、会場の近くの一般家庭にホームステイをするのが決まりになっていて、そこの主人が言うには、普段は近所迷惑を考えて、ピアノの練習時には窓を閉め切ってもらうのですが、彼の場合、近所に住む人たちから音が聴こえるよう窓を開け放して欲しいと強い要請があったそうです。

また、彼が練習するスタンウェイのピアノの下で飼い犬が、うっとりしたような表情で一日中聞いていたということです。家の主人は、彼が日本に帰ったあと犬がストレスにならないだろうかととても心配していると語っていました。

人間だけではなく動物にも感じられる癒しの音楽とは・・・モーツァルトの「魔笛や魔法の鈴」のようではありませんか。あのオペラで奏されるこれらの楽器の音が悪人や野獣の心さえも純化させるように、彼の作曲した曲にはフィーリング(癒し)の力があるのでしょう。

また、テレビで生演奏の様子を見ましたが、指が独立して生きているように鍵盤の上を自由自在に動きまわり、身体をリズムに合わせて揺らせる様は本当に音楽が好きなのだなあと思わせてくれます。

彼の演奏したCDは今よく売れているそうですが、彼の作曲家としての才能も素晴らしいものがありそうです。これからも作曲・演奏ともおおいに楽しみな音楽家です。
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14・ヘンデル没後250年

今年はハイドンの没後200年だと思ったら、ヘンデルも250年の記念イヤーになるのですね。どうりでCDショップなどでハイドンと並んで限定盤が売り出されています。

バッハと同い年生まれで9年長生きしたヘンデルは、晩年イギリスに帰化したのでバッハとは全く違う環境で過ごしたことになります。実際その作風はバッハとは対照的なオラトリア(オペラ)や器楽曲で活躍しました。

今年が記念イヤーということで、盛んにオラトリアが発売されていますが、日本語歌詞対訳が付いていないので、買うのを躊躇しています。過去何点か買いましたが、筋が分からない、歌が分からない、では2時間が苦痛です。さすがに音楽は素晴らしいのですが、何を歌っているのか分からないのでは途中で興味が薄れてしまいます。

こんな記念の年こそ、歌詞対訳付で安く出してくれれば嬉しいのですが、どうしても輸入盤に比べて何倍も高くなってしまいます。まだ今まで聴いた事のないオラトリアの日本語対訳盤が発売されることはほとんど期待薄ですね。

さて、私はヘンデルで一番好きなのは合奏協奏曲作品6です。イタリア留学中にコレルリのスタイルを学び、それを基にして合奏協奏曲作品3と6を書き上げました。
作品3はリコーダー、フルート、オーボエなどの管楽器、オルガンのソロもありますが作品6では12曲全て弦楽器のみの編成になっています。

ではこの曲集はヴァイオリン協奏曲かというと、ソロ部分がなく全てが合奏で、ヘンデル独特ののびやかな情感と明るい作風が全曲にあふれています。この曲集はヘンデルの代表作だけでなく<b>「合奏協奏曲」という分野の最高傑作</b>ではないでしょうか。

私は、ベルリンフィルのような大オーケストラ演奏から、室内合奏団、または古楽器オーケストラなどいろんな演奏のCDを持っていますが、どの演奏を聴いても素晴らしいと感じます。
長調、短調と交互に現れて曲想が変化に富んでいるので全12曲全てが聴き飽きるということがありません。

ところで、数ある名演の中で一番気に入っているのは、目下のところ「イタリア合奏団」の演奏です。響きは柔らかく、ふっくらしていてヘンデルの微笑さえ感じる演奏です。(ページトップへ

15・名曲探偵アマデウス、失踪か?

このごろ衛星放送で時々楽しんでいた「名曲探偵アマデウス」を見なくなりました。・・・というか決まった時間にはないので終了したのかと思っていました。

不景気のこの頃、名曲だけで事件や依頼を解決するような探偵事務所に客があるはずがなく、やはり経営不振で倒産したのかと思っていました。

ところが放送時間が変わっていたのですね。最近では金曜日の朝8時15分(衛星放送)、そしてNHK総合では同じ金曜日の3時15分に移動していました。この時間帯では働いている人は見ることが出来ませんね。それも毎週は放送していないのでなかなか見ることは出来ません。録画するしか方法がありません。

テレビでのクラシック番組ではテレビ朝日の「題名のない音楽会」がこのたび、クラシック番組では、世界一の長寿番組だということを認められたということです(ギネスブック)がこれは本当に奇跡のようなことです。「出光興産」というスポンサーの心意気があるからこそ出来たことです。幾らいい番組でもスポンサーが赤字では提供することが出来ないので終わって行きます。

さて、NHKはスポンサーはないのでかろうじて続いていますがこの素晴らしい「名曲探偵」もいつまで続くか分かりません。ちょっとでも視聴率があがるようにクラシック・ファンの皆様、どんどん見て意見などもNHKに送ってください。そうすれば終わることはないでしょう。たとえ放送が真夜中の3時頃になろうとも・・・・。
ここをクリックすると名曲探偵アマデウス「チャイコフスキー:
ピアノ協奏曲第1番のYouTube映像に移ります。

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16、オーケストラの主役:ヴァイオリン

クラシック音楽になくてはならない楽器はなんといってもヴァイオリンです。このヴァイオリンに代表される弦楽器群は人の声に一番近く長時間聴いていても耳にやさしく疲れません。

また、弦楽器は合奏していても音が溶け込みやすく、人数が多ければ多いほど音のダイナミックスと豊かな表現が出来ます。

16世紀末までは主にダンスや歌の伴奏に使われていました。ちなみに最初にヴァイオリン協奏曲を作曲したのはイタリアのジュゼッペ・トレルリ(1658〜1709)とされています。

私は管楽器オーボエをしていましたが、合奏をしていて多人数の弦楽器群が音をそろえて美しいハーモニーを創り上げてゆくのを目の当たりにしてヴァイオリンこそオーケストラの主役だと思いました。

         **************         

協奏曲では、ヴィヴァルディ(1678-1741)のヴァイオリン協奏曲は魅力的ですね。大好きでよく聴きます。譜面は簡単なのですがそれ以前のトレルリ、コレルリとは比べ物にならないメロディの親しみやすさと美しさに、それこそぞっこんでした。

その後聴くだけでは我慢がならずヴァイオリンを買って、教室に通ったのはいうまでもありません。

最初はのこぎりで木を切るような音ばかりで家族の顰蹙を買ってばかりでしたが、たった一人?だけ私を励ましてくれました。

「エス」という飼い犬がヴァイオリンに合せて歌ってくれるのです。口を尖らせて遠吠えのような声を出します。その姿が面白く、また可愛いので練習にも身が入りました。

犬は救急車のサイレンを聞くとよく遠吠えをしますが、私のヴァイオリンとサイレンの音と勘違いをしたのでしょうか?まあそのおかげか程なく簡単な音楽は弾けるようになりましたが・・・・・。

        ***************

特に好きなのはヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲集「調和の霊感」作品3の全12曲です。

この曲集は1711年に出版されてヨーロッパ中に広まるベストセラー曲でした。後にバッハがこの曲集から何曲かを選んで、オルガン協奏曲に編曲して協奏曲の研究に当てたほどの名曲です。ヴィヴァルディ自身がヴァイオリンの名手だったというところから、この曲集も彼自身のソロで演奏したのでしょう。

もしそうだとすると、どれほど素晴らしい光景だったことでしょう。想像するだけでも楽しくなってきますね。
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17、サティ〜ピアノの詩人?それとも奇人?

曲名を見ただけで、聴いてみたくなる曲がありませんか?運命、英雄、とか新世界などのネームは単純でそれだけでも魅力的なのですがロマン派以降の作曲家になるとイメージとか印象を重んじる作品が多くなりました。

チャイコフスキーの交響曲第1番「冬の日の幻想」この曲名を聞いただけでロシアの広大な冬の景色が思い浮かびます。ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」もなんと魅力的なネーミングでしょうか。けだるい雰囲気の印象的な音楽を彷彿とさせる、いい曲名ですね。

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一風変わった曲名ばかりで、ついついどんな曲なんだろうかと思わせる作曲家がいます。「3つのジムノペディ」で有名なフランスの作曲家、エリック・サティ(1866-1925)です。

反アカデミズム・反ロマン主義を貫いた、反骨精神にあふれたピアノの奇才です。「芸術を志す者は全てを放棄した状態で生きなくてはならない」と標榜して32歳の時にパリの住居を引き払って、郊外の薄汚い場末に移り住み残りの27年間をそこで孤独に過ごしたという奇人でした。

そんな彼の作品には一風変わった題名の作品が目白押しです。「舞踏への小序曲」 「犬のためのぶよぶよした前奏曲」 「ひからびた胎児」 「最後から2番目の思想」 「木製のふとっちょ人形のクロッキーとからかい」 「梨の形をした3つの小品」・・・・など風変わりな曲名がぞろぞろ出てきます。

なんか可笑しくてちょっぴり不気味でつい聴いてみたくなる、いいネーミングですね。曲は19世紀末にしてはロマンのかけらもない無機質なアンニュイな曲ばかりです。まるで水に漂う「くらげ」のように、重力を感じないフワフワした音楽としか形容のしようがない奇妙で美しい音楽ですね。

これらの作品が19世紀末から20世紀はじめの頃に作曲されたとは驚きです。当時としては相当な前衛音楽だったのでしょう。

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こんな洒落た曲名と音楽が相乗効果をあげて、最近では人気がうなぎのぼりですね、TVコマーシャルとかドラマに使われることが多くなりました。このように「ネーミング」というのは非常に重要です。

人の名前から商品の名前まで名前ひとつで人生が変わったり、商品の売上が変わったりしますから・・・。
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18:おもちゃの交響曲

交響曲といったら運命とか悲愴交響曲のように規模が大きく、また複雑で深刻なイメージがありますが、この「おもちゃの交響曲」はおもちゃの鳥笛やラッパ、ガラガラ、太鼓が次々登場して大変楽しいものです。

以前演奏した事がありますが、譜面は簡単で音楽をちょっとかじった程度の素人でも演奏できるからたのしいものです。

昔のレコードではハイドン作曲となっていましたが、1951年バイエルンの州立図書館でモーツァルトのお父さんレオポルド・モーツァルトの「カッサシオン」全8楽章の第3・4・7楽章と同じことがわかったのです。

この楽譜にハイドンの弟ミヒャエル・ハイドンがおもちゃ楽器を付け加えて作曲した楽譜の写しが発見されたので現在ではレオポルド・モーツァルトの作曲と確定されています。

幼いモーツァルトがこんな楽しい音楽を聴いて育ったのだと思うとなんとなくほほえましいですね

モーツァルトは突然現われた天才だと思っていましたが、こんな素晴らしい音楽を作った親がいてこそ、生まれたのだなあと思いました。息子アマデウスがあまりにも偉大なので父親の影は薄いのですが、現存しているトランペット協奏曲やホルン協奏曲、いくつかの交響曲を聴く限り決して二流ではない才能を感じます。

この親にして天才モーツァルトが生まれたのだなあ・・・と、この「おもちゃの交響曲」を聴いて思いました。とにかく楽しくて気分がうきうきする交響曲ですね。

おもちゃの交響曲ほか初めて聴くクラシック集
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*レオポルド・モーツァルト:おもちゃの交響曲 アダム・フィッシャー指揮デンマークの管弦楽団


19:たて笛(リコーダー)の魅力

たて笛と聞いたら、小学校の音楽の授業を思い出しますね

息を吹き込んだら誰でも音が出て、かんたんなので独奏したり合奏したりして楽しめます。 よく小学生が、下校時にたて笛を吹きながら帰ってくるのを見かけますが、とても可愛くほほえましい風景ですね。

このように今では小学生の楽器のようになっていますが、たて笛はたいへん歴史の古い楽器で、リコーダーは、中世にヨーロッパで完成された単純なたて笛の中でも最も完全な楽器のひとつなのです。

バロック期までにはフルートと呼ばれていて、現在のフルートの原形である横笛は「フラウト・トラヴェルソ(横向きのフルート)」と呼ばれていました。リコーダーにはソプラノ、アルト、テナー、バスと声楽と同じ種類があり、バロック期以前には盛んに4本の四重奏曲が作曲され好まれていました。バロック時代にはアルト・リコーダーが主流だったようです。

このようにリコーダーは17世紀に大いに普及しましたが、横笛の進化形であるフルートが音量や音色の変化など、表現能力で勝ってしまったため、18世紀後半のオーケストラの時代になって、ついには取り残されてしまいました。

ところが戦後のバロックブームに乗って、昔の音楽が発掘される中で、「リコーダー」の名曲もどんどん発表されるようになりました。 フランス・ブリュヘン、マルティン・リンデなどの名手が現れ、CDでその素晴らしい音色を聴くことが出来ます。

今日は、リコーダーの名曲を紹介しましょう。
ミカラ・ペトリが縦横無尽に吹きまくるリコーダー名曲集です。です。 玉を転がすような、ペトリのリコーダーの名人芸はまさにバロック音楽を聴く醍醐味です。
これを聴くと「たて笛」の表現力の多彩さにびっくりされることでしょう。 
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ミカラ・ペトリ:リコーダー名曲集ペトリ・リコーダー

ヴィヴァルデイ:リコーダー(ソプラノ)協奏曲RV443


20・モーツァルトとウェーバーは親戚か?

ドイツロマン派オペラの最高峰とされる「魔弾の射手」や「オイリアンテ」を作曲した、ウェーバーとモーツァルトが親戚だったとはご存知でしたか?
つまり、モーツァルトの妻コンスタンツェとウェーバーがいとこ同士なのです。コンスタンツェの旧姓は”ウェーバー”でした。

モーツァルトは初めは姉のアロイジア・ウェーバーに恋したのですが見事に振られ、結果的にその妹と結婚したのですが、このときモーツァルトは26歳、妻は19歳だったといいます。

後世、悪妻として有名になったコンスタンツェはモーツァルトに言わせると「善良で、心正しく、小奇麗で、浪費癖もなく・・・」などと父親に語っています。そして周囲の反対を押し切って結婚したモーツァルトは終生この妻を愛したということです。

ではなぜ悪妻と言われるのかというと、家計のやり繰りに疎く何にでもお金を使ってしまう浪費癖のある女性だったからです。要するに貧乏をしたことにないお嬢様だったのでしょう。いつまでも子供っぽい天衣無縫の自由人のモーツァルトを支えてゆくにはお嬢様育ちでは荷が重かったのかも知れません。

特に彼女の評判を悪くしているのは、モーツァルトの埋葬に立ち会わなかったばかりか、墓参りにも17年後にようやく出かけてゆき、そのため正確な埋葬場所もわからずじまいになっている点です。驚きますね!

でも、考えようによってはこの浪費癖の愛妻のために、体に鞭打って”傑作”を書き続けてくれたので、今我々は素晴らしい作品に出会えたのか知れません。こういう意味では”悪妻”に感謝しなければなりませんね。

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21、あふれる涙〜白鳥の湖

音楽を聴いて久しぶりに泣きました。この音楽はチャイコフスキーの「白鳥の湖」の音楽物語です。
有名なお涙ちょうだいの悲恋物語ですが、きれいな日本語の語りを聞いていると美しいバレエの情景さえも眼前に広がるようでした。
語りは女優の松原千明さんです。バレエ全曲では150分もあるところを、半分に要約させていて、ストーリーに関係ない音楽はカットされていたので、聴くほどに物語に引き込まれてゆきました。音楽ではそう、涙が出るものではありませんが、日本語の語りが入る事により、物語の場面と心理が手にとるように理解できるので、心をとても揺さぶられました。

〜悪魔の呪いで白鳥に姿を変えられていたオデット姫が夜の間だけ人間の姿でいるところをジークフリート王子にみそめられ、結婚の約束をするところから話は始まります。オデット姫の呪いは今まで誰にも告白した事のない若者が真実の愛をオデット姫に誓う事で解けると言うのです。しかし、ジークフリート王子が姫に姿を変えていた悪魔の娘、オディールに永遠の愛を誓った事で、永久に人間の姿に戻れないことを悟ったオデット姫は絶望のあまり湖に身投げする〜と言う悲恋物語です。

誰でも知っている有名な話なのですが、美しい日本語の語りと音楽との相乗効果で、最後の絶望したオデット姫がせめて人間の姿のままで命を絶とうと崖から湖に飛び込み、それを見た王子が後を追う場面など、バレエを見るより心に迫ってきました。

最近のボリショイ・バレエの演出では、王子と悪魔が戦い二人は現世で結ばれると言うハッピーエンドが多いのですが、このCDでは原作どおり、ふたりは湖に身投げして天国で結ばれる結末になっていました。そして愛の力によって呪いが解けた姫の友達やお供の少女たちが見上げる空を二人が抱きあって登ってゆく最後の場面など涙で顔がくしゃくしゃになりました。(このところ涙もろくなったものです)

こんなに涙が出たのも久しぶりです。たまには泣くというのもいいものですね。不思議と気分がすっきりしました。因みに私は聴くたびに涙が出る音楽は歌劇「トスカ」と「蝶々夫人」です。何度聴いても涙が溢れてきます。
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 音楽物語/チャイコフスキー:白鳥の湖〜松原千明・語り

*白鳥の湖フィナーレ/貴重な原作どおりのラストです・アメリカン・バレエ・シアター
映像が古いので見づらいところはご容赦ください


22、ホルスト:組曲「惑星

太陽の周りを公転する、惑星が増えるかもしれないと聞いて、天体への興味がまたわいて来ました。
子供の頃、天体望遠鏡を買ってもらって夜空をよく観測した事を思い出しました。

でも、玩具に毛の生えたような廉価な望遠鏡では、せいぜい火星らしき星がうっすら見える程度で、そのうち飽きてしまい望遠鏡もどこへ行ったのか覚えていません。(多分捨ててしまったのでしょう。)

それでも月のクレーターがくっきり見えた時には、家族中大騒ぎして見たのを覚えています。このたびの新惑星、誕生のニュースはそんな子供時代を思い出させてくれました。


音楽では、イギリスの作曲家ホルストが地球以外の7つの惑星を題材にして、壮大な組曲を作ってくれました。この惑星にはそれぞれサブタイトルが付いていて、火星〜戦争の神、金星〜平和の神、水星〜翼のある使いの神、木星〜快楽の神、土星〜老年の神、天王星〜魔術の神、海王星〜神秘の神、となっています。

ホルスト自身は、この音楽は占星術のイメージから楽想を得ていますが、標題音楽でも、神話の神々とも関係はないと話しています。それに作曲は1918年ごろだったので、冥王星はまだ発見されていなかったので含まれていません。

第一曲目の重々しい不安な戦争の神を表わす火星は、その昔、スーパーマンの映画のバックミュージックで使われていたのを覚えています。(白黒のテレビ映画でした)
最近では、メロディの美しい木星が「ジュピター」としてポピュラー・ミュージックでも有名になりましたね。

今から80年も前に作曲された、空想の宇宙の音楽を聴いていると、人類の宇宙への憧れを感じます。やがては、火星や月に人類が住むかも知れませんね。そんな楽しい思いもさせてくれる組曲です。 【ページトップへ

デュトワ/ホルスト:惑星

23・名指揮者のリハーサル

最近、よく指揮者のリハーサル盤が発売されていますね。私も興味があるので目に付くとついつい買ってしまいます。モントウーの合唱交響曲、ルドルフ・ケンペとミュンヘン・フィルとのベートーベン交響曲7番、ムラヴィンスキーのチャイコフスキーとショスタコーヴィチの第5交響曲などのリハーサル盤を持っています。こういった名指揮者のリハーサルは・・・なるほどこういうやり方でオーケストラをまとめてゆくのかと納得できることが多いですね。だからこんな素晴らしい演奏が出来るのかと思いました。

ところが凡庸な指揮者や団員から反感を買うような指揮者の下ではいい音楽が出来ないのは当たり前で、リハーサルの段階では楽団員と指揮者との丁々発止のやり取りがあるわけです。指揮者は自分の凡庸さを悟られないように、または勉強不足を露呈しないように必死で予習をするわけです。ただ前に立って拍子をとっているだけではありません。

名を成し功遂げた名指揮者など、指揮台に上がるや否や体全体からオーラが発していて、それだけで普段よりもすばらしい音楽が奏でられるものです。

日本にも多くの名指揮者が客演にやって来ましたが、オーケストラが見違えるように世界一流のオーケストラに変身するのを目の当たりした経験があります。マタチッチとNHK交響楽団やマルケヴィチと日本フィル、レーグナーと読売日響などこのときの演奏は今でも、名盤として残っています。
たった数回のリハーサルなのにこんなにすばらしい演奏が出来ると言うことは、的確な指摘とすぐれた指導力があるからでしょうね。

CDやDVDで、名指揮者のリハーサル風景が出ていますが、トスカニーニ、アンセルメなどの手厳しい練習もあるかと思えば、ワルター、モントゥーなど和気藹々として楽しいリハーサルもありますね。

厳しい中にも、なるほどなあと楽団員をうならせる鬼才といわれた、クライバーのリハーサルは微にいり細にいり徹底的に音楽を意味づける、指揮振りには驚かされました。これではあまり多くの曲を演奏できないはずだ・・・と納得がいったほどです。

そのほか、クライーバーほどではないにもしても徹底的に音を磨き上げるチェリビダッケのリハーサルも異色のものでした。彼は長時間のリハーサルを要求するので、出来上がった音楽はまったくチェリビダッケ色に染められていて、ミュンヘンフィルが晩年の異常に遅いテンポにもきっちりあわせていたのは驚異的でした。
他のオーケストラではがたがたになっていたでしょうね。
こうして、リハーサルのDVDやCD、放送などを通じて音楽が出来上がる段階を紹介してくれるので、クラシック音楽を聴く楽しみが増えました。今後もどんどん出してもらいたいものです。

もし、私が楽団員だったら、音楽的なリハーサルをしていたバルビローリのもとでやりたいなあと思いました。彼の指揮した音楽はロマンティックで優雅ですから。【ページトップへ
モントゥーのリハーサルは素晴らしい!
*カルロス・クライバー/シュトゥットガルト管弦楽団 こうもり序曲リハーサル1970年
微にいり細にいり指示をしますが出来上がった音楽の素晴らしいこと!!

24.白い色は恋人の色〜加藤和彦さんを悼んで

 先週末ニュースで作曲家「加藤和彦」さんの死亡を知りました。彼のグループ、フォーク・クルセダースによる《帰ってきたヨッパライ》という、自主制作のレコードは280万枚も売れたという伝説があります。

そしてその後のフォークソング界をリードしてゆく素晴らしい活躍を知っていましたが、このたび自ら命を絶たれたというニュースには驚きました。彼には多くの名曲がありますが、最も好きなのはハワイのベッツィ&クリスがたどたどしい日本語で歌った「白い色は恋人の色」という歌です。(作詞:北山 修)澄み切った声のふたりのアメリカ少女のデュエットは本当に美しいものでした。それこそ《初恋の色》のような透き通った美しい音楽でした。私はクラシックばかりを聴いてきましたが、彼女たちのように美しい歌声は大好きでよく聴いたものです。

ところで、偶然ですが・・・去年買ったヘイリーの歌う「日本のポップス・純〜21歳の出会い」というCDの中に英語版と日本語の2バージョンが収録されていました。ニュージーランドの歌手ヘイリーのひとり2重録音による、この曲の歌は原曲のベッツィ&クリスの歌唱を上回る見事さです。完璧な音程からくる澄み切ったハーモニーは、加藤氏の作った素晴らしい旋律をより一層引き立てています。これを聴いていて、こんな素敵な音楽を作った才能がもうこの世に居ないという寂しさも感じたのです。

今日は加藤和彦さんを偲んでこの歌を何度も聴きました。・・・ご冥福をお祈りいたします  (2009年10月19日)【ページトップへ】  

*白い色は恋人の色 ベッツィ&クリス


*ヘイリー:白い色は恋人の色(日本語バージョン)





25・メロディスト・ドヴォルザーク

今朝「題名のない音楽会」でドヴォルザークの交響曲第8番を取り上げていました。

日本人はなぜドヴォルザークが好きなのか?・・・ということを検証していました。例によって青島教授がチンドン屋を引き連れて登場したので大笑いしました。教授の言うには付点音譜からくる「ぴょんこ節」というリズムが、日本人の古来から伝わるリズムでこれを聞くと嬉しくて踊りだすというのです。

チェコの田舎の踊りとこれが共通点があるのでしょうか、確かにドヴォルザークの作品には多く使われています。だから郷愁を覚えてしまうのでしょうね。それにメロディが美しいというのも魅力です。有名な新世界の家路、ユーモレスク、スラヴ舞曲第10番、チェロ協奏曲など魅力的なメロディのオンパレードです。

どの曲も初めて聴く曲なのに、どこか懐かしい感じがするのです。特に交響曲第8番は「美しいメロディの宝庫」だと思います。演奏しても指揮しても、またただ聴いているだけでもすっきりとする気持ちのいい構成になっています。

楽器の鳴りのいい「ト長調」というのも影響しているのでしょう。弦楽器、木管楽器、金楽器とどの楽器もキラキラ輝くほどの響きの良さです。全曲を聴き終えた時の爽快感は格別です。

以前、生演奏でこの曲を聴いた時、最後のコーダの圧倒的な迫力に会場の拍手が鳴り止まなかったのを覚えています。この交響曲には聴衆を興奮させる要素にあふれています。

誰の指揮でも見事な演奏になるのですが私の愛聴盤は古いところではワルター:コロンビア交響楽団で、新しいものはメニューン指揮のロイヤル・フィルのものです。特にロイヤル・フィルのは90年代のデジタル録音で音に張りと潤いがあり、思いがけない名演だと思いました。【ページトップへ

*ドヴォルザーク交響曲第8番/アンドレ・プレヴィン指揮ベルリン・フィル

 


26、小夜曲の思い出

”小夜曲”と聞くと、私には忘れられない思い出と、かすかな後悔があります。

中学一年生の国語の時間に(何の関連かは忘れましたが)先生が、黒板に大きく「小夜曲」という漢字を書いてみんなにたずねました。「これはなんと読む?」またそのあと「これが読めたら今学期の国語の成績は”5”をやる」と言ったのです。私は「さやきょく」と読んで「セレナード」だと知っていました。

モーツァルトのセレナードのレコードジャケットにドイツ語で”アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク”と書かれていてアイネ(一つの)、クライネ(小さな)、ナハト(夜の)、ムジーク(音楽)と解説されていたのを見ていたからです。

あまりにも先生が突拍子もない問題を出したし、ひょっとして他に読み方があるのかしら?・・・・とちょっと迷ってしまいました。

でも、もし間違ったら恥をかくかも知れないと思い手を上げませんでした。それとこんなことを知っているとクラスメイトに自慢していると思われるのもいやだなと思ったのかも知れません。

結局誰も手を上げなくて、先生は得意げに、これは「セレナード」と読むんだ。とみんなにさっきのドイツ語の説明をしました。

私はああ、なぜ手を上げて答えなかったんだろうかと、口惜しい気持ちになりました。なぜこんなに消極的なんだろうかと自分自身を情けなく思いました。

モーツァルトのセレナードを聴くと、いつもあの時、もし手を上げて答えていたら、本当に成績の”5”をくれたんだろうか?と今でも考えてしまいます。ページトップへ
*モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク K525/ゲヴァントハウス弦楽四重奏団
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27、フレンチポップスの魅力
 
フランス語の持つ気品と優雅さとを兼ね備えた音楽が日本でも人気を博していますね。例えばポールモーリアの音楽、レイモンルフェーブルなどの音楽が一世を風靡しました。

でもこれらの音楽より前に、日本ではフレンチポップスが大流行した時代がありました。
シャルル・アズナブールのシャンソン(これがポップスと言うか分かりませんが)に始まり若者を熱狂させたシルヴィー・ヴァルタン、ダニエル・ビダルなどが現れてフレンチポップス一色に染まったことがありました。

私はその頃からフランス音楽が好きで、オッフェンバックのオペラやドビュッシー、ラヴェルなどの音楽に親しンでいましたが、これらのポップスにも魅力を感じたのです。
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今回はクラシックから離れてなつかしいフレンチポップスをご紹介します。
美しいシルヴィー・ヴァルタン。愛らしいダニエル・ビダルなどのヒット曲をお聴きください。

シルヴィー・ヴァルタンの曲は1963年の映画「アイドルを探せ」(CHERCHEZ L'IDOLE)の主題歌です。この曲を聴いた時、こんなに美しいセクシーな声の人がいるなんて信じられませんでした。フランス語のなんともいえないロマンチックな響きにうっとりしたのです。

当時、私は中学生でした。ラジオにかじりついて聞いたのも懐かしい思い出です。後に映像を見て、美しい風貌にもすっかり心奪われました。彼女はフレンチ・ポップスが流行りだしたころのシンボル的な存在でしたね。

そのあと、アイドル路線の先駆けのようなダニエル・ビダルが登場して日本中の男性ファンを沸かせました。フランス人形のような可愛らしさと、洒落た音楽の相乗効果でその頃のポップス音楽をリードしていました。
この路線が後ほどのおニャン子クラブ、モーニング娘、AKB48などに繋がって行ったのしょうか。

私はこの「天使のらくがき」を演奏している、レイモン・ルフェーブル楽団の音楽がとても好きで、レコードの溝が擦り切れるほど、毎日毎日聴いたのを思い出します。

*シルヴィー・ヴァルタン:アイドルを探せ 
      



*ダニエル・ビダル:天使のらくがき

*ダニエル・ビダル:天使のらくがき(1996年盤)

*天使のらくがき:レイモン・ルフェーブル・オーケストラ

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28、紅とんぼ〜忘れられない女(ひと)
ちあきなおみ」さんのこの歌を聴くと思い出す女(ひと)があります。

和服の似合う美しい女(ひと)でした。どうして、”でした”と過去形を使うかというともう既に亡くなっているからです。

亡くなったご主人の残した借金のため、働かなくてはならなくなったのを、ご主人の友人たちの援助で小料理屋を開いたと聞いていました。私はあまりお酒は強いほうじゃないのですが、女将さんに会いたいために友人と連れだって良くこの店に行きました。

いつも和服姿で美しく、明るい性格でみんなを楽しくさせてくれる心使いが何よりのご馳走でした。私よりはだいぶ年上でしょうが、びっくりするほどの色の白い肌の艶の美しい女性でした。

私は会社を変わったり転居したりで、ついついご無沙汰してしまい、私の知らないうちに突然店仕舞いされました。その後風の噂で、入院されていると知ったのですがお見舞いに行くまもなく亡くなられたということを知りました。・・・・


この歌を聴くと、ついついこの小料理屋の女将さんの美しい着物姿が思い起こされます。店仕舞いのときは知らないのですが、こんな歌のようなしんみりした風情だったのでしょうか。

聞いているうちに、あの何となく憂いを含んだ後姿の女将さんの着物姿を思い出してしまいます。
本当にしんみりしてしまいます・・・・!

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ちあきなおみ:紅とんぼ

今は引退された「ちあきなおみ」さんの代表曲ではないでしょうか。涙が出そうになります。しんみりしてしまいました。とっても胸を締め付けられて…。歌を聴いているのではなく、その場にいるように思いました。まるで店のお客になって聞いているような気持ちです。


29、もしも明日が・・・〜愛する人よ逢いに来て!

こんな素敵な歌がかつて流行っていましたね。私の娘も小さいときテレビを見てよく歌っていました。家内も好きなのでふたりで歌っていたのを昨日のように思い出します。
欽ちゃんのどこまでやるの!」通称「欽どこ」という大ヒットテレビ番組の挿入歌でした。

この曲は海外でも人気になり台湾、中国などでもよく歌われているのを知っています。
でもこの動画は「タイ」のものですね。タイなどでもヒットしたのでしょうか?

この歌がヒットした当時から、なんと美しいメロディでその歌詞もなんと素敵なんだろうと、とても心引かれるものがありました。

それからだいぶ経った今、聞いてもその時の印象は全く変わりません。と言うか当時よりもぐっと心に訴えるものがあります。
歌詞にある♪〜愛する人よ あの場所で  もしも明日が晴れならば 愛する人よ そばにいて・・・〜♪

この歌を聞いてから何十年後の今、愛する人が何人遠くに行ってしまった事だろう・・・二度と会えない遠い所に、・・・そんなことを思い出させてついつい目頭が熱くなります。(本当に涙もろくなったものです)

何年ぶりかで聞いた娘も「ああ、なつかしい!いつ聞いてもいい歌ね・・」と感慨深げでした。
テレビの挿入歌ですが何十年経っても色あせない素敵な歌ですね。これこそ名曲です!

*もしも明日が・・・:わらべ+おかあさん
タイ語と日本語の字幕付き

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(追記:母親役の女優の真屋順子(まや・じゅんこ)さんは2017年末に亡くなられたということを知りました。心よりお悔やみ申し上げます)


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