名曲の森18年   

2009年以来ずっとお休みしてしまいました。 ほぼ9年ぶりです。家でしたらこんなに長い間留守にしていたら、庭の草木も伸び放題になり部屋もカビだらけになっていたことでしょう。でも以前と変わらない姿で待っていてくれました。涙が出るほど嬉しかったです。パソコンからも離れていたので操作も忘れていて満足にアップできない状態が続いておりますが、また以前のように音楽を中心にした話題で楽しんでいただければ幸いです。こんなに長い間留守にしていたのに見捨てずに見にこられた方もいらっしゃるかと思います。心より感謝いたします。それでは生まれかえった新しい「名曲の森」をおたのしみください。
さあコンサートの開幕です!



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1、ただいま!
 2、ハイドン:協奏交響曲 3、ベートーベン:田園交響曲 4、ベートーベン:ヴァイオリン協奏曲
5、ハイドン:オーボエ協奏曲 6、憧れのマーキュリーレコード 7、バリオス:大聖堂 8、バリオス:森に夢みる
9、グリーグ:ホルベルク組曲 10、スッペ:軽騎兵序曲 11、ヴィヴァルディが蘇えった? 
12、カイルベルト再発見
13、アルヴェーン:スウェーデン狂詩曲 14、哀愁のスコットランド交響曲 15、ヴァイオリンの名曲/ヴィオッティ
16、NHK FM放送「詩と音楽」 17、懐かしのフォークダンス 18、マ−ラー:大地の歌 19、抒情と狂気の協奏曲
20、フチーク:冬の嵐 21、探し求めていた:ブクステフーデの曲 22、ABCラジオ・朝のテーマ曲 23、音楽の落穂拾い
24、秋に寄せて〜フィギアスケートの音楽 25、百万本のバラ 26、バッハ=ブゾーニ編曲:シャコンヌ  
27、モーツァルト:コンサート・ロンド  28、ワルトトイフェル:愛と春 29、ロシア民謡〜魂を揺さぶる歌声
30、アリャビエフ:夜鳴きうぐいす 31、ロシア民族舞踊団の優雅なダンス 32、バレエ:くるみ割り人形
33、世界各国で愛された行進曲  


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1、ただいま!やっと帰ってきました

長い間留守にしました。ほぼ9年も不在でした。何をしていたんだ?と言うお叱りの声も聞こえてまいりましたが、色々事情があったのです。
まず、勤めている会社の倒産、その後のアルバイトの日々、ひどい時など一時に3件もかけもちしたこともありました。それほど収入が少ないのです。

転居もしましたし、病気もしました。本当に落ち込んだ時期もありました。こんな時に心を励ましてくれたのは家族の力です。暖かい家族がいてくれたのでなんとか切り抜けてまいりました。

それと、私のそばにはいつも音楽がありました。音楽を聴いていると心が和み嫌なことや不安をやわらげてくれたのです。

このホームページが更新できなかった一番の原因は・・・・実は「目の病気」だったのです。今まで仕事で目を酷使してきたせいか、細かい字が見えなくなり、パソコンなど30分もしているとどこにもピントが合わなくなり画面が見られなくなったのです。

昨年の10月に思い切って両眼を手術をして今では、良くなってこうしてパソコンが出来るようになったのです。仕事にもありつけて今では運転業務が主な仕事についています。

こうしてパソコンは更新していませんでしたが、音楽鑑賞は続けていて多くの演奏会やCDを購入して楽しんでいました。またYoutubeと言うものが発達して、いくらでも世界中の音楽が楽しめるいい時代になりました。このホームページにもYoutubeを活用しようと思っています。どうぞ期待してください。

2.ハイドン:協奏交響曲〜心を支えてくれた曲
苦しい時、私の気持ちを支えてくれた曲がハイドンの協奏交響曲でした。ハイドンの憂いのない音楽が私の心中にスッと入り込み、体中の細胞を活性させてくれるような気がしました。それほど音楽がストレートに響き渡ったのでした。

「琴線に触れる」と言う表現がぴったりでした。この協奏交響曲はヴァイオリン、オーボエ、ファゴット、チェロといった独奏楽器を伴ったコンチェルトグロッソ風の交響曲です。

変ロ長調の明るく和気あいあいとした楽しい音楽を仕事に追われて疲れ果てた運搬ワゴン車のカーステレオで、何度も何度も聴いて過ごしたのを昨日のように思い出します。

ハイドンはオーストリーのエステルハージー侯爵家の楽長として長年勤めてきたので、この交響曲の独奏楽器は当時の楽団の腕利きたちを起用したと考えられるのですが、どのパートにも腕の見せ所を配置した充実した音楽です。

特に第1楽章は底抜けに明瞭で、軽快なテンポに乗って独奏楽器が次々と現れては消えてゆき、テュッティになればティンパニーが大活躍する楽しい音楽です。CDではベーム/ウィーンフィル、バーンスタイン/ウィーンフィル、アバド/ヨーロッパ室内管、ドラティ/フィルハーモニア・フンガリカなどそうそうたる名指揮者が録音していますが、最近Youtubeで素晴らしい演奏に出会いました。

実に清々しいメロディを4人の腕達者が競い合い又は調和して奏でてゆく様は実演を見る楽しさに溢れています。ハイドンの優しく大らかな性格が感じられる傑作だと思います。
どうぞ、聴いてみてください。きっとこの協奏交響曲がお好きになると信じています。

演奏は:ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団です。こんな素晴らしい演奏、めったに聴けません!
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(以前はYoutube なるものがなく、ネットで音楽や映像などを見る機会がなかったのですが、最近では世界中の情報や映像、音楽などが基本無料で見ることが出来るいい時代になりましたね。)

ハイドン:協奏交響曲・ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団

 


3、ベートーベン:田園交響曲

ベートーベンの9曲の交響曲でどれが一番か?と聞かれたら迷いますね。どれも聴くたびにその曲が一番に思えるからです。でもCD棚につい手が行くのは、第6番「田園」交響曲になってしまいます。張りつめた感情の起伏の激しい交響曲群の中で唯一、精神の安らぎを感じる交響曲だからです。

田園と名づけたのはベートーベン自身で、全体を5楽章に分けて各楽章を(1)田舎に着いた時の愉快な気分、(2)小川のほとり、(3)田舎の人々の楽しい集い、(4)雷雨・嵐、(5)牧人の歌・嵐の後の喜びと感謝、との標題がついています。

この曲はそれまでの音による構築性を追求する交響曲の分野では、非常にユニークな作品でした。この作品の素晴らしいところはただ単なる描写音楽に終わらず、ベートーベン自身の心象風景がちりばめられているところではないでしょうか。

第2楽章の小川のほとりで小鳥がさえずる幸福な風景は、彼の精神の安定を思わせるし、最終楽章は苦しみを乗り越えたもののみが知る、「生への感謝」が込められているようです。

音楽家としては絶望的な耳の病を苦にして「ハイリゲンシュタットの遺書」を書かせたほどの苦悩を乗り越えて6年後に書かれたこの作品は、ベートーベンの「死」への決別と「生」への決意が込められているように感じられます。

第5楽章の「牧人の歌」とされるホルンとヴァイオリンで奏されるテーマは、音楽史上最も美しい音楽ではないでしょうか?この楽章は苦難を克服した者の精神の安らぎと、力強い決意に燃えた新しい「生」への宣言と感謝が込められているように思えてなりません。

一般的には同時に完成された第5番「運命」のほうが、ベートーベンの激しい性格を表していて、そう感じるかもしれませんが、私は第6交響曲のほうが、はるかにベートーベンの内面を正直に吐露した作品だと思っています。
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学生時代、アマオケの連中が「ベートーベンの小道」と呼ぶ第2楽章小川のほとり、というこの音楽にぴったりのところがありました。小さい川をはさんで木々が生い茂り、清らかな水が流れ小鳥の声が聞こえる小道を、静かに歩くと、ベートーベンの苦悩を想い、まるで自分がベートーベンになったかのような気分になり心の中で田園交響曲が鳴り響いていたのを懐かしく思い出します。
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この交響曲はブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団の演奏以外考えられません。

ナチスに追われアメリカに亡命して、モノーラルのレコードを数多く録音してくれましたが、高齢のうえ心臓病の為、リタイヤしていたところをコロンビア社が説得して大部分をステレオで取り直してくれた事は神に感謝したいほどです。

コロンビア交響楽団とは彼の人柄を慕ってアメリカ、ヨーロッパ中の演奏家が馳せ参じたという臨時編成の素晴らしいオーケストラでした。そこで録音されたステレオの全てが素晴らしく、時代を超えて永遠に残る遺産ともいえる名演そろいです。

この田園交響曲を通してワルター自身の自然観、人生観をも込めた心理的な交響曲を聴くたびに大きな感動が得られます。

なんと暖かい感情にあふれみずみずしい歌に満ちていることでしょうか!!

★永遠の名盤!録音も優秀です                 【ページトップへ

4、ベートーベン:ヴァイオリン協奏曲

冒頭の神秘的なティンパニーの4連打で始まるこの曲は、ベートーベンの若々しさが前面に出た「永遠の青春の音楽」です。全楽章にわたって繰り広げられるセンチメンタルなほどのヴァイオリンのささやきはどうでしょう。あの威厳に満ちた肖像画からは想像できないほどの優しさに満ちた音楽です。

第1楽章でオーケストラの導入部が静まって、おもむろにヴァイオリンが恋の想いを訴えるように美しい第2主題を奏でると、もう聴衆はこの音楽の虜になってしまいます。

36歳のベートーベンが当時ある令嬢と恋をしていたという事実が納得できるほどの優しく美しい曲です。恋をするということがベートーベンにしては珍しい幸せにあふれた曲を書かせたのでしょうね。第1楽章と3楽章に出てくる、ソロ・ヴァイオリンとファゴットとのやり取りは、まるで恋人同士が恋の語らいをしているように聴こえてなりません。

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現代ではヴァイオリン協奏曲史上、最高の傑作とされているこの曲も初演では大失敗し、その後は忘れ去られたというから驚きです。

初演ではベートーベンの作曲が間に合わず2日前に楽譜がやっと完成し、練習するまもなく、ソリストはベートーベンの草稿を殆んど初見で弾いたというから、この曲の真の美しさを伝えたとは思えません。

この曲が再び日の目を見るのは1844年にヨーゼフ・ヨアヒムのヴァイオリン・ソロ、メンデルスゾーンの指揮で、実に38年ぶりに蘇演され大喝采を浴びたということでした。

以後ヴァイオリン協奏曲の傑作として君臨し続けることになります。


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CDは名曲だけにあらゆる演奏家が録音していますが、私が愛聴しているのは、少し古いのですが、シュナイダーハンのソロ、ヨッフム指揮ベルリンフィルグリューミオのソロ、デイビス指揮コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏です。
スケール大きいベルリンフィルの伴奏に乗って、シュナイダーハンはウィーン風の繊細な演奏が素晴らしく、これとは対照的なグリューミオは甘く艶やかな明るい響きが魅力的です。(写真はグリューミオ)
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5、ハイドン:オーボエ協奏曲

数あるオーボエ協奏曲の中で最も好きな曲です。
学生時代にフランスのアンドレ・ラルドロがソロ、シュトウツ指揮のチューリッヒ室内管弦楽団のレコードをそれこそ溝が擦り切れるほど聴いたものです。その頃はオーケストラ部でオーボエを吹いていたので何とかこの曲をマスターしたいと必死で練習したものです。

ハ長調の明るい曲想でそんなに難しいパッセージもないので出来るかなと高をくくったのですが、実際演奏してみるとアレグロの所など指が回らず、テンポが遅れるばかりでした。
これは伴奏の充実した堂々たる協奏曲ですが、メロディが覚えやすくて一度聴いたら耳から離れません。モーツァルトの協奏曲とこれは、古典派の代表的な協奏曲といえるでしょう。

実はこの曲はハイドンの作としてのはっきりした証拠はないのです。

この作品は、ツィッタウ(旧東ドイツのポーランド国境近く)に保管されていた他人の手によるパート譜だけが存在していて、作曲者名 Haydn が、明らかに違う色のインキで加筆され、更にその後に「?」マークが青鉛筆で書かれているということです。

1790年代に書かれたこの作品は、古典派におけるオーボエ協奏曲の名曲のひとつとされていますが、確かな証拠がないことから「伝ハイドン」、「いわゆるハイドン作の〜」と称されています。

ハイドン研究の第一人者であるR・ランドン「確かにハイドンのものではないが、腕のいいマイナーな作曲家による魅力的で華やかな作品」としつつ、第3楽章の典型的なロンドを「このように平凡な趣に陥らずに書ける作曲家は、ハイドンを置いて他にいるだろうか?」とハイドン真作説に未練を残しています。

息の短い紋切り型の主題で伴奏との冗長な会話に終始する同時代のオーボエ協奏曲とは一線を画し、優れた技法を縦横に駆使して、ソリストを満足させる作品に仕上がっています。

私としては、ハイドン以外にはこのような優れた協奏曲を書けるとは思いません。何とか自筆譜が出てきてこの問題に決着をつけてもらいたいと思っています。

最近Youtube で素敵な演奏を発見しました。フランソワ・ルルーが指揮をしながら吹いています。とろけるような甘い音色で時折テンポを落したり速めたりで自由自在に演奏するさまは音楽をする喜びに溢れていますね。こんなに輝かしく即興的なオーボエ協奏曲にはめったに出会えません。

バックはノルウェー室内管弦楽団ですここでは第1楽章のみをご紹介します。
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6、憧れのマーキュリー・レーベルのCDを手に入れました!

1960年代アメリカのマキュリー・レコードが発売された時は世界中のオーディオ・マニア
がその録音のリアルで迫力ある再現性に度肝を抜いたと伝えられていました。
当時はまだ小学生でレコードなどとは無縁の毎日だったので、大きくなってクラシックに
興味持ったときは、手に入れたくても買えませんでした。なぜなら高価すぎたからです。

レコード雑誌で「ドラティ指揮のミネアポリス管弦楽団、チャイコフスキー:序曲1812年」
の大砲と教会の鐘の音のすさまじさを、盛んに喧伝していたので・・・一体どんな音がす 
るんだろうかと思ったものです。

レコードの溝をトレースするプレーヤーのカートリッジ(針)があまりの大音響で飛んで
しまうとか・・・まことしやかに言われたものです。

こんな、高価で優秀録音の集合であるCDが、「マキュリー・リヴィング・プレゼンス」と銘
うって53枚にもなるBOXセットで発売されたのです。第1巻が出てすぐにネットで買い
ました。こんな素晴らしいCDが1セット10、000円ほどだったので1枚が200円ほどに
なる計算ですね。本当に安くなったものです。昔のレコードだと2500円はしていたとお
もいます。

早速聴いてみた所、噂どうり本当に見事な録音ばかりでした。1956,57年ともっと古い
録音があったのに、現在の録音とまったく遜色はないのです。いやそれよりいいかも知れ
ません。例えばドラティ:ストラヴィンスキー春の祭典など59年録音なのに、打楽器の
バチの音が目の前で炸裂しているように思える素晴らしい録音でした。

演奏家はアンタール・ドラティを筆頭にフランスのポール・パレー(デトロイト交響楽団)も
多くあり巨匠の名人芸をたっぷり堪能できました。そのほかアメリカらしく行進曲のスーザ
の曲、ハワード・ハンソンの管弦楽などもあり、ドイツ、オーストリー、一辺倒の日本の
音楽会ではお耳にかからない珍しい曲も沢山ありました。

このあと、第2巻、第3巻と立て続けに発売されたので全て手に入れました。限定盤だっ
たので、廃盤になる恐れがあるからです。

写真のように3巻全部でCD約160枚程になるので、全部聴くにはどれほど時間が掛かるか
分かりませんが、私にとっては長年の憧れの「マーキュリー・レコード」が手元にあるという
だけで、大満足です。まるで宝箱のように見えます。
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7、バリオス:大聖堂〜南米のギターの天才
 
アグスティン・バリオス通称「マンゴレ」は南米の生んだ天才的なギターリスト、そしてこの楽器のための作曲家です。南米パラグアイに1885年に生まれて1944年、59歳で亡くなっています。

私はギターといえばスペインのセゴビア、イギリスのブリーム、ウィリアムスなどの著名なギタリストが演奏するバッハのソナタ、ソル、タレガ、ロドリーゴなどの有名曲はよく聴くのですが、バリオスは全く知りませんでした。

ではどうしてこの作曲家を知ったかと言うと、(話は長くなりますが)・・・・4年前 新しい職場に就職して、その年の忘年会で偶然隣り合った先輩とひょんなことから、音楽の話題になり大阪で老舗の「ササヤ楽譜店」に学生時代「楽譜を求めて入り浸っていた」と言ったところ、彼もちょうどその頃よく行っていたと聞いて、意気投合したのです。

彼は私とは違ってギター部に所属していたので、ギターの楽譜を探していたのでしょう。小さい店だったのできっと何回も出会っていたはずです。それからというもの職場でのお昼の休憩時間はもっぱらクラシック音楽の話題に花が咲きました。彼からは、私の知らないギターの名曲の数々を。私は交響曲協奏曲などの紹介しあいました。

私は是非聞いてくださいとシベリウスのフィンランディアを紹介すると。彼の琴線に響いたのでしょう。大好きになられたようです。私の敬愛するシベリウスを好きになってもらえたので本当に嬉しかったです。

こうして音楽談義の楽しい時間が過ぎてゆきましたが、そんなに長くは続きませんでした。今年の4月で先輩は転勤してしまったからです。・・・・それからというもの食事が終わっても話をする相手もなく、職場の外の公園のベンチで過ごすことが多くなりました。

音楽の話題で時間を忘れて話し込んだりしたのは、オーケストラ部に所属していた頃以来でした。 本当に楽しい楽しい時間でした。
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さてバリオスのことですが、この「大聖堂」を是非とも聴いてごらんと言われたので、Youtube で聴いてみると、なんと素晴らしい曲でしょうか!いっぺんに好きになってしまいました。この曲はバリオスの代表曲でなんと20代初期の作品だと言うから驚きです。

全曲は3部に分かれていて第1部:前奏曲、荘重な聖堂の敬虔な祈りの雰囲気を表し、第2部:メヌエット 第3部:アレグロ祈りを終えて外に歩み出た人々のあいだに、ただよい残る感動の余韻を表したものです。
敬虔な祈りの雰囲気と幻想的なトレモロ、この7分あまりの音楽がまるでシベリウスのピアノ曲のように静かに響き、南米の大聖堂が霧の彼方に浮かび上がるようでした。たった一本のギターから奏でられる音のマジックにすっかり魅了されたのです。

Youtube の演奏はバリオスの音楽を敬愛するイギリスのジョン・ウィリアムスです。

*この素晴らしい曲を会社の先輩は、完璧に演奏できると聞いたのでおどろきです。ぜひとも機会があればこの耳で聴いて見たいものです。  【ページトップへ


8、バリオス:森に夢みる

この曲も20代初期の作品で、彼独特のロマンの香り高いギターの性能と魅力をいっぱいに生かした傑作ではないでしょうか。
20歳を過ぎた頃からギター奏者として独立して、半ば頃からはアルゼンチン、ウルグァイなどでも演奏していました。

1916年(31歳)にはブラジルに行き、ほぼ15年間に渡ってこの国で過ごしています。生来のロマンチストで旅を愛し、流浪の詩人の魂を持っていたバリオスはブラジルを離れたあとは諸国を転々とする事になります。

吟遊詩人といってもいいバリオスは、全てギターのみの曲で彼自身の言によれば300曲を超えたが、多くは書き上げるとすぐ友人や弟子の手に譜面を渡してしまうので多くは散逸してしまったということです。散発的に出版された以外は忘れられていたのですが、1960〜70年代に研究家の努力により、まとまった形で作品が公にされ、その魅力に惹かれるギタリストも多くなってゆきました。

このバリオス復権に最も大きな役割を果たしたのがジョン・ウィリアムスで、1976年ロンドンで録音された「オール・バリオス」のリサイタルLPでした。

Youtube ではこのJ・ウィリアムスが演奏しています。歌うような前奏に続く優しい長調のトレモロ、中間にすこし思い入れがあり、再び今度はまるで陽が陰ったような物悲しい短調のトレモロが始まります。パラグァイの牧歌的な森の風景が彷彿とする美しい作品です。

今年わたしはその時のCDを買いました。全17曲収録されたバリオス作品集です。
バリオスの代表曲、どれを聴いてもギターの魅力を最大限に表現した傑作だと思いました。皆さまもどうかご鑑賞ください。    【ページトップへ


9、グリーグ:ホルベルク組曲よりアリア

何か無性に物思いに沈む夜にはグリーグの組曲「ホルベアの時代より(ホルベルク組曲)」が聴きたくなります。特に「アリア(エアー)」は6分もあり、じっくり音楽にひたることが出来ます。 このアリアの抒情的な旋律は一度耳にしたら決して忘れられなくなるでしょう。弦楽だけの合奏なのに音楽の盛り上がりも素晴らしくグリーグ独特の悲しみのメロディがぐいぐい迫ってきます。 この清涼感にあふれた抒情的なメロディはノルウェイの民謡なのでしょうか?ドイツ・オーストリーの音楽にはない民族的な雰囲気があります。


ノルウェィを代表する作曲家グリーグは、若い頃から民謡を研究するうちにその虜になり、ライプチッヒへの音楽留学を終えた後はよりいっそう、民謡をベースにした作品を書くようになりました。 ノルウェイ語による抒情的な歌曲やピアノ曲が、グリーグのライフワークになってゆきました。比較的若い頃に作曲したピアノ協奏曲はドイツ・ロマン派(特にシューマン)の影響を受けながらも、グリーグ独特のいかにも北国のひんやりとした清涼感が味わえるノルウェイの協奏曲になっています。

グリーグには大作はなく全てが、抒情的な小品で占められていますが一度その魅力にはまるとのめりこんでしまうほどの甘美な旋律を持っています。 ピアノの為の数多くの小品を作曲していて「北欧のショパン」と呼ばれるほどです。代表曲に「抒情小曲集、全10巻」があります。これは合計66曲にもなります。その他初期のピアノ・ソナタや弦楽四重奏曲も優れた作品として現代まで残っています。

グリーグは同じ北欧で国民学派としてのフィンランドのシベリウスと並び賞されますが、雄渾で男性的なシベリウスに対して、あくまで抒情的でロマンティックな作風はまさにグリーグ的センチメンタルと言うべきでしょう。
どの作品を聴いてもあの清涼感に溢れるノルウェイの風景からイメージできるように非常に美しいものです。こんなに抒情的で美しい音楽を作る作曲家をグリーグ以外には思い浮かびません。

最も有名なペールギュントは全編、抒情的な音楽で構成されていますが、ペールギュントに誘惑されて捨てられた乙女、「イングリッドの嘆き」の悲痛な調べはどうでしょう。これほどまでに悲しみに打ちひしがれた悲痛な音楽があったでしょうか? また薄情で身勝手な男の帰りをひたすら待つ、故郷の恋人、ソルヴェイグの歌の懐かしさはどうでしょう。

私はこれらグリーグの”泣き節”にどっぷりはまってしまっています。

一度、「ホルベルク組曲のアリア」と「イングリッドの嘆き」を聴いてみてください。きっとお気に入りの曲になると信じています。(演奏はホルベルク組曲よりアリア:ノルウェイ室内管弦楽団。 *イングリッドの嘆き:リボル・ペッシェック指揮スロバキアフィル。))

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10、スッペ:軽騎兵序曲〜トランペットの魅力

クラシックと縁のない人でもこのメロディーを聴くと「どこかで聞いた事があるぞ」というくらい有名な曲です。
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華やかな軍人たちの生活を描いたオペレッタということですが、この序曲だけが生き残っていています。この5分ほどの音楽の特徴といえば、なんといっても冒頭のトランペットの勇壮なファンファーレではないでしょうか。そして軽騎兵が馬に乗って駆け足をするギャロップ風の行進曲がこれまたトランペットを心憎いほど活躍させ、聴く者を馬に乗って走っているような気分にさせるほどの心地よさです。

私は中学生の時この音楽のドーナツ盤を買って毎日聞いていました。(裏面は同じスッペの「詩人と農夫」序曲でした)トランペットがあまりにも素晴らしいので吹奏楽部の友人からトランペットの古いのを借りて練習した事があります。でもまともに音が出るはずもなく、狭い我が家では家族からは「うるさい」と言われ、しまいには「押入れ」にこもって汗だくで練習する始末です。

こんな状態ではまともに練習できるはずもなく挫折しましたが、今でもこの音楽を聴くと「トランペット」の魅力に取り付かれそうになります。 この他、アイーダの行進曲やタンホイザー行進曲のファンファーレもトランペットの魅力がいっぱいにあふれていますね。

誰にも文句が言われないところで、これらのファンファーレを心ゆくまで思い切り吹けたらどれだけ気分がいいだろうかと思う時がよくあります。 
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*軽騎兵序曲/リッカルド・ムーティ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

 



11、ヴィヴァルディが蘇えった?〜カルミニョーラの超絶技巧!

ヴィヴァルディの最大の功績は、新しいヴァイオリン演奏技術を発展させたことと、後のバロック協奏曲のモデルになった「協奏曲形式」を確立したことです。

作品3の調和の幻想から8番「四季」や9番「チェトラ」などの協奏曲集を見ても、徐々にヴァイオリン技法が発展していったことが分かります。作品11,12になると完全にヴァイオリン協奏曲の形式が確立したことが分かります。

最近、イタリアのカルミニョーラがバロックバイオリンを弾いたCDが発売されましたが、6曲全て世界初録音で、ヴィヴァルディの後期の作品だということで話題になりました。これを聴きましたが、ヴァイオリンの超絶技巧を駆使した、驚くべき演奏でした。

ヴィヴァルディが演奏する姿を目の当たりにした、当時の聴衆が「
彼は弓の為の余地がなくなるほど、押さえ指をブリッジに近づけ、また信じられないほどの速さで奏した・・・」と述べているように、このCDの演奏も超高音のパッセージを信じられない速さで演奏しているのです。 ガット弦の柔らかい音色で、高音のヒステリックな響きが調和されて、激しい弓使いのわりには非常に耳に心地よい音色です。

ヴィヴァルディもこのように演奏したのでしょうか?縦横無尽にソロが飛び回り、またアドリブ的にトリルも駆使してひと時も気をそらしません。目くるめくアルペジオ、息をのむ技のきれ、またこの即興演奏にぴったりと付いてくる見事な伴奏。 ここで聴くヴィヴァルディはまるで、パガニーニのように響きます。 とにかく、今まで聴いたことのない衝撃的な演奏で、過去の演奏、CDが全て色あせて見えてきたほどです。

彼の経歴は:
ジュリアーノ・カルミニョーラ】は1951年ヴァイオリニストの父のもとトレヴィーゾに生まれた。ヴェネツィア音楽院でルイジ・フェロに学び、ナタン・ミルシテインとヘンリク・シェリングのマスタークラスも受講した。1973年のパガニーニ国際コンクールで第5位に入賞するなど、多くの国際コンクールでの入賞歴がある。ソリストとしてクラウディオ・アバド、エリアフ・インバル、ジュゼッペ・シノーポリなどの指揮者と共演した。
1983年にアンドレア・マルコンの主宰する古楽器グループ、ソナトーリ・デ・ラ・ジョイオーサ・マルカに参加し、バロック・ヴァイオリンの演奏や解釈の研究に取り組んだ。1997年にはマルコンとともにヴェニス・バロック・オーケストラを結成し、ヴェネツィア・バロックの復興に尽力している。


1980年代から盛んに活躍してきて、いまや古楽器ヴァイオリニストの第一人者に登りつめています。私もソニーから出ていた「四季」のCDを聴いてびっくり仰天したほどの超絶技巧の持ち主だったのです。それからというものヴィヴァルディの後期協奏曲集など、即興的と言うべきか、譜面に忠実と言うべきか400年も前の音楽がたった今、生まれたような錯覚に陥るほどの新しさなのです。

過去、ミュンヒンガー、イムジチ、ベネチア合奏団、イタリア合奏団などの名演奏がすべて色あせて聴こえるほどの新しさなのです。私はCDのみで鑑賞していて、ものすごい演奏だな!とは感じていたのですが、YouTubeで実際の演奏が見れるようになって、「ああこんなに素晴らしい演奏だったんだ!」と納得しました。たった4本の弦の上を縦横無尽に飛び回り、極端なまで音の強弱をつけて奏しています。

これは前述した、ヴィヴァルデイの生演奏を目の当たりにした聴衆が〜彼は弓の為の余地がなくなるほど、押さえ指をブリッジに近づけ、また信じられないほどの速さで奏した・・・」と述べているのが、全く当てはまりますね。
こういう事から・・・私はきっとヴィヴァルデイが現代に蘇ったら、このカルミニューラの演奏と同じだったんじゃないだろうか?と確信しています。

ウソだとお思いのかたは、とにかくその演奏を見て聴いてください。曲は協奏曲RV273、ホ短調です。(13分26秒)これを見てしまうと他の演奏が頼りなくなってしまうほどです。   
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B00005N75A ヴィヴァルディ:後期VN協奏曲
カルミニョーラ(ジュリアーノ) ヴィヴァルディ ヴェニス・バロック・オーケストラ
ソニーミュージックエンタテインメント 2001-09-05

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ヴィヴァルディ:後期ヴァイオリン協奏曲 第2集 ヴィヴァルディ:後期ヴァイオリン協奏曲 第2集
カルミニョーラ(ジュリアーノ) ヴィヴァルディ ヴェニス・バロック・オーケストラ

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ヴィヴァルディ:VN協奏曲集 ヴィヴァルディ:VN協奏曲集
カルミニョーラ(ジュリアーノ) ヴィヴァルディ

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*ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 RV273 


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12 カイルベルト再発見

先日、CDショップで「カイルベルト・コレクション」というBOXを見つけました。CD14枚組カイルベルトでした。価格も3千円と格安だったので迷わず購入しました。その昔、ウェーバー歌劇「魔弾の射手」全曲のLPレコードを持っていましたが、それがカイルベルト指揮のベルリン・フィルの演奏だったのです。

当時 高校時代で初めて聴くオペラだったので、それはそれは驚きの連続でした。世の中に、こんな面白いオペラがあったのか!ストーリーといい、その中の音楽ともども「魂」が奪われるほど このオペラに感動してしまったのです。

その後、他の指揮者での演奏を集めて聴き比べましたが、いまだに「ヨーゼフ・カイルベルト」のこの演奏よりも私の琴線に触れる演奏には出会っていません。カルロス・クライバーのシュターツカペレ・ドレスデンの演奏ですら、軽すぎて満足できませんでした。中世ドイツの森の暗さが感じられなかったためです。

さて、このカイルベルトはNHK交響楽団の客演指揮者になり、度々来日して有名になりましたが、惜しくも1968年60歳と言う若さで急死してしまいました。このBOXセットに収録されていたのは、テレフンケン・レコード原盤のドイツ音楽のみでした。モーツァルト、ベートーベン、ブラームス、ブルックナーの交響曲の数々、そしてワーグナー。R・シュトラウス、マックス・レーガーというドイツの重厚な音楽ばかり収録されていました。

モーツァルトに「重厚」などと言葉はふさわしくないと思いますが、カイルベルトの音楽はまさに「重厚」そのものなのです。低弦に重心を置いたような、どっしりとしたモーツァルトの交響曲、今では聴くことの出来ないモーツァルトでした。久しぶりに、こんなに充実感のある演奏に出会いました。全ての演奏が録音が古いとはいえ、いまだに充分通用する美しい録音でした。
私は今でもブルックナーの交響曲第6番(ベルリンフィル)の録音盤が最も素晴らしい演奏だと信じています。 また1950年代にバイロイト劇場でワーグナーの「ニーベルングの指輪」全曲を指揮したことも話題になったものです。

当時カラヤンがレコード界を席巻していた時代で、ブルックナーやブラームスのような純ドイツ系の音楽を得意にしていました。表現が正統派で渋く、イタリア、フランスなどのラテン系の音楽はほとんど録音していなかったので、一般的な人気はなかったのですが、一部の熱狂的なファンからは絶大なる支持を受けていました。特にNHK交響楽団には大きな足跡を残したようです。

何十年ぶりに出会った懐かしい演奏家ですが、これからは、カイルベルトの芸術を心ゆくまで鑑賞する楽しみが出来ました。<ページトップへ

*ブラームス:ハンガリア舞曲第1番/カイルベルト指揮バンベルク交響楽団


13、アルヴェーン:スウェーデン狂詩曲

昨日は6月21日夏至でした。この夏至の季節に相応しい名曲があります。スウェーデンの作曲家アルヴェーンの狂詩曲「夏至の謝肉祭」と言う曲です。

1872年ストックホルムに生まれたアルヴェーンが、1903年30歳の時に作曲した作品が、「スウェーデン狂詩曲 第1番 『夏至の徹夜祭』」です。彼はこのスウェーデン狂詩曲を3曲書きましたが、この第1番が一番有名です。スウェーデンの素朴な民謡を思わせるメロディーから始まるこの曲は、親しみやすく、いろいろなテーマ音楽などに使われることも多いので皆さまもきっとどこかで耳にした曲だと思います。

ぜひ夏至のこの時期に、聴いてみてください。スウェーデンでは、夏至の前の土曜日とその前日2日間が祝日になり、盛大に「夏至祭」が開かれるそうです。

北極に近い北欧の諸国は長い冬が終わり、短い春が終わると一年中待ちこがれた「夏」を大いに謳歌するわけです。一日中陽が昇らない冬を経て、今度は一日中陽が沈まない「夏至」に生きる喜びを爆発されるのでしょうか。そんな〜ついに夏がやってきた!という喜びがあふれているスウェーデンの人々の様子が目に浮かぶようです。

同じ北欧のフィンランドの友人から「ほの暗い長い長い冬の間は気分が憂鬱になり、一日中ほの明るい夏至の頃を待ちわびる・・・・」と言っていたのを思い出します。

冒頭、弦のピチカートによる舞踊風のリズムに乗って、クラリネットはじめ木管楽器によって登場する楽しい旋律が「夏至祭」の始まりのざわめきを表し、その後その主題が幾度となく繰り返され全楽器で大きく奏されると祭りの気分が最高潮に達します。夏を待ちわびた人々の感情が爆発するのです。

中間部では一転、北欧特有の白夜の情景となり、コールアングレ(イングリッシュ・ホルン)で哀愁を帯びた旋律が切々と奏でられます。まるでこの明るい夏至の数日を惜しむかのような心情が見えるようです。そして白夜が明けて若者たちの熱狂がますます高揚し、賑やかな踊りが次々と繰り広げられる中でフィナーレを迎えるのです。

楽しくも哀愁を含んだ北欧独特の清涼感を感じる一編のラプソディですね!  【ページトップへ

*アルヴェーン:スウェーデン狂詩曲 ペトリ・サカリ指揮アイスランド交響楽団
 


14、哀愁のスコットランド交響曲

メンデルスゾーンの最高傑作といえば交響曲第3番「スコットランド」ではないでしょうか。(私はそう思います)

有名なスコッチウィスキー発祥の地の名前を冠した名曲「スコットランド交響曲」はメンデルスゾーンが20歳のとき3ヶ月イギリスに滞在し、旅先のスコットランドにある古城の風景から受けた印象を基に交響曲を書き上げました。といっても完成まで13年かかり彼の最後の交響曲になったので現在第3番となっていますが実際は第5番になるのでしょう。

スコットランド北部のエディンバラにある旧王城ホリルードの遺跡を訪ねた時、16世紀に起こった王城での惨劇と、その横にある礼拝堂の屋根も落ち祭壇も崩れ、草や蔦が荒れ放題に茂っているのを目の当たりにして「この交響曲の構想を得た」と手紙に書いています。

この交響曲を聴いていると北国の荒涼とした自然を前にしてメンデルスゾーンが感じた印象を追体験しているような感覚に陥ります。まさに一幅の水彩画を見ているようです。ワーグナーが「第1級の風景画家」と称賛したのがうなずけます。

さて、私はこの交響曲が大好きで今まで色んな指揮者で聴いてきましたが、最も気に入っているのが、クリストフ・フォン・ドホナーニ指揮のウィーン・フィルの演奏です。このウィーンフィルの美しいこと。弦、木管、金管全ての楽器の音色に潤いがあり哀愁が漂っているのです。またドホナーニのテンポが独特で音(感情)の揺れが作品に深みを与えていて、何度聴いてもあきさせません。

昔はもっぱらクレンペラー指揮の演奏ばかりを鑑賞していましたが最近はこのCDばかり聴いています。皆さまも一度聴いてみてください。【ページトップへ

*スコットランド交響曲 第1楽章/ドホナーニ指揮ウィーン・フィル(画像の指揮者はアバドです) 


15、ヴァイオリンの名曲
    ヴィオッティ:ヴァイオリン協奏曲第22番イ短調


イタリアのヴァイオリン協奏曲の名匠ヴィオッティ(1755〜1824年)は、全29曲のヴァイオリン協奏曲を残しています。その中で、最も有名なのが22番と23番です。

特に短調で哀愁に富んだメロディが魅力的な22番が最も人気があります。曲は三楽章構成で、ヴァイオリンの演奏技巧を発揮させながら、従来独奏に対して従属的な地位にあった伴奏をそれと同位に引き上げようとしており、近代協奏曲への先がけとなった協奏曲だといえるでしょう。

ブラームスやヨアヒムはこの曲の賛美者であり、 ブラームス自身はベートーヴェンの協奏曲よりもこの曲を好み、ヨアヒムのヴァイオリンと彼のピアノで何回も合奏を楽しんでは、その度に感激していたといいます。またベートーヴェンもヴィオッティの作品はよく知っており、彼の協奏曲を作るのに大いに影響を受けたといわれています。

また、ヴァイオリン奏者としてのヴィオッティの影響力は大きく、ピエール・ロードやピエール・バイヨを教え、ルドルフ・クロイツェル(彼らは後に著名な教師となった)に大きな影響を与えました。これらの実績によりヴィオッティは19世紀のフランス・ヴァイオリン楽派の創設の父と呼ばれる程です。また、弓の製作者フランソワ・トゥルテ(トゥールト)に助言を与え、現在の一般的な弓の形を作り上げました。

これほどヴァイオリンの大家なのに、日本ではあまり紹介されておらず、演奏会でもCDでもめったに取り上げられないのが不思議です。でも一度お聴きになれば、この協奏曲がお好きになること請け合いです。

Youtube でいい演奏が見つかりました。(Vn)ローラ・ボベスコ/クルト・レーデル指揮ライン・パラティナ国立管弦楽団1980年のCDです。80年代から数少ない名演のCDでした。ここでは楽譜も見ることが出来ます。学生オケでも演奏できるほどの平易な協奏曲なのでどうぞ音楽とともに楽譜もお楽しみください。
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*ヴィオッティ:ヴァイオリン協奏曲第22番イ短調/ローラ・ボベスコ(Vn)楽譜付き


16、NHK FM 放送 「詩と音楽」

私が中学か高校生のころ、夕方からの15分か20分間ほどだったと思いますが「詩と音楽」という放送がありました。その頃クラブに入っていたので毎日は聞けませんでしたが、クラブのないときは必ず聞いていました。

どんな番組かというと:男性と女性が交互に古今東西、世界中の「詩(ポエム)」を「音楽」に乗せて朗読してくれるのです。作者の背景や詩の内容などの解説は一切ありません。ただ静かに詩を朗読するのみでした。

ゲーテ、ハイネ、ヴェルレーヌ、ヘッセ、リルケ、ボードレールや日本の中原中也、宮沢賢治などの詩人の作品をとりあげていました。朗読とその詩にぴったりの音楽が配されていて、本で読む「詩」とは全く違うイメージが湧き、深く心の中に染み込んでゆくのを覚えています。

「詩」が持っているイメージが音楽によって、より明確に表現され、聴覚と思考の両方が刺激されて目をつぶるとまるで作者が描いた詩の世界へと誘(いざな)われるようでした。たいていは静かな思索的な音楽と、それと共鳴するようなロマンテックで感傷的な「詩」が頭の中をぐるぐるめぐり、まるで霧の中をさまような気持ちになったのを今でも思い出します。

なぜこれほどまでにこの番組が懐かしいかといえば、この番組のテーマ音楽が素晴らしかったからです。冒頭から弦楽器のトレモロが奏され、まるで夜明け前の暗い霧が徐々に晴れて、薄っすらと青空が見えてくる・・・。というようなイメージの音楽でした。

長年この音楽が「なんという音楽か?」知りたくてまた聴きたくてたまりませんでした。数年前にネットでNHKの音楽番組のFM局にメールで尋ねたのですが、返事はありませんでした。

もうすっかり諦めていたのですが・・・・待てよ?ひょっとしたらYoutubeで探せるかも知れない。と思い何日もかけてそれらしき音楽までたどり着きました。その結果モダンジャズのヒットナンバーの「朝日のようにさわやかに(Softly as in a morning sunrise)」と言う曲だと判明しました。

メロディがそうだったのです。不思議ですねはっきり覚えていました。でも私の聴いた音楽はストリングスの美しい調べだったので、そこでオーケストラで演奏しているのは無いだろうか?まず、フランク・チャックスフィールドの演奏が出てきました。あっ!これかも!?

とうとう探し当てた!と思いじっくり聴くと、なんか違う。特に後半が違います。また探し始めました。そして最後に
マントヴァーニー・オーケストラの演奏に行き着いたのです。そうです!この演奏です!間違いがありません。

長年の探し物が見つかりました。これを聴いていると過ぎ去った青春時代がよみがえってきます。夢と希望に満ちあふれていたなつかしい青春時代。今これを聴いて目頭が熱くなっています。(もしこの音楽じゃないと知っておられる方がいらっしゃったら是非ご連絡ください) 
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*朝日のようにさわやかに/「詩と音楽」のテーマ曲


17、懐かしのフォークダンス〜マイムマイム

フォークダンスといえば学生時代、運動会や体育の時間に輪になって踊ったのが思い出されますね。

皆さんも一度は踊ったことがあると思います。男子と女子学生が手をつないで単純な踊りを舞います。曲として想い出に残っているのは「マイム・マイム」「オクラホマ・ミキサー」「コロブチカ」などです。

他にもあったのでしょうが曲名は忘れてしまいました。私はそんな中で一番好きだったのは「マイムマイム」です。学生のときは曲名がどんな意味だとは知らなかったのですが、イスラエルのヘブライ語で「水」の意味だと知ったのは最近のことです。砂漠地で農業をする人々が水源を発見して喜び歌い踊る様を表したものだそうです。
だとすると「マイムマイム」は「水だ水だ」と訳すべきですね。

たいていはクラリネットで奏されて軽快なリズムで進行するのですが、短調なので何となく憂いがあり踊っていてもウキウキする感じはしませんでした。例えれば泣きながら踊っているような寂しい音楽に私は何故かしら強烈な印象が残っています。

CDを持っているのでたまに聴くと、やはりその時の雰囲気が思い出されます。オクラホマ・ミクサーのような明るい音楽のあとに聴くと余計にそう感じます。

また、フォークダンスの音楽を聴くと、気になる女の子と手がつなげる唯一のチャンスだったので胸がどきどきしたのも思い出します。

お目当ての女の子が近づいてきたら胸が高鳴り汗も噴き出さんばかりに体温も高まってくるのです。多分顔も真っ赤になっていたと思います。

でも、そんな時に限って曲が終わったり、輪舞の回転方向が変わるのです。きっと皆さんもそんな経験をしたことでしょう。

とにかく「フォーク・ダンス」には青春時代の淡い恋心がいっぱい詰まっていますね。【ページトップへ

*イスラエル民謡/マイム・マイム


18、ワルターのマーラー:大地の歌

何年振りかでワルター指揮ウィーンフィルの52年録音の「マーラー:大地の歌」を聴きました。LP時代から長らく名盤として有名な録音でした。
今から66年も前の録音なのに非常に鮮明な音で、冒頭のホルンの主題からいきなり驚かされます。続くウィーンフィルの研ぎ澄まされた弦楽器群の音色にも惚れ惚れとしてしまいます。

モノーラルなので音の広がりがないのが惜しまれますが、紛れもなくウィーンの響きで、21世紀の現代でもその音色には大きな変化がないように思われます。チェロや管楽器、特にオーボエにはウィーン独特の特徴があり、ずっと伝統が守られているのがわかる録音でした。

ワルターはマーラーの弟子でありまた友人であったので、マーラーからの影響が強くあるのは当たり前で、一連のマーラーの交響曲録音はマーラーの思想に最も近かったと思われます。

今、66年前のウィーンの響きを聴いていると、マーラーもこのように演奏したに違いない・・・と思わせる素晴らしいものです。
病身だった晩年のマーラーの苦悩と厭世観を漂わせているとされているこの交響曲は中国の詩人達、李白、孟浩然、などの詩のドイツ訳に沿って書かれています。最後の第6楽章は「告別」と題されており30分にもなる長大な楽章です。

マーラーはワルターに「この曲を聴いて自殺するものが出るのではないか」と語ったといわれていますが、私が聴く限り、東洋風の異国情緒にあふれた、人生肯定的で抒情的な音楽に思うのですが如何でしょうか。

中国の漢詩を訳した、哲学的な歌詞を読みながら聴いているとそれこそ中国のどこまでも広大な大地を想像してしまいます。この交響曲の初演はマーラーが亡くなって半年した1911年11月20日に、ワルターの指揮によって行なわれました。

私はマーラーの演奏はワルターの最高の遺産だと思います。(写真は中国桂林)【ページトップへ

*マーラー《大地の歌》から第6楽章「告別」をドイツ語日本語歌詞対訳字幕付きでお届けします。<BR>
ブルーノ・ワルター指揮 / ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 /(Sp)キャスリーン・フェリアーです。

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19、抒情と狂気の シューマン:チェロ協奏曲

くすんだ響きと抒情的な雰囲気の充満したシューマンの音楽は他にはない魅力があります。
確固たる信念とあふれんばかりの生命力が込められたベートーベンに比べると、なんと屈折したつかみ所のない音楽を書くのだろうかと思わせます。明るいはずの交響曲1番「春」も”もや”に霞んでいるようです。

CDを聴いていても何かすっきりしない響きで音がこもってしまい、気分がスカッとすることがありません。
これは録音でこういう音になるのかと思ったのですが、生演奏でも同じでした。

高音も低音もスカーっと鳴り響くチャイコフスキーやドヴォルザークのようにではなく、ブラームスにそっくりです。いや、シューマンの弟子だったブラームスが似ているのですね。

でもこのように特徴のある、シューマンの音楽は聴けば聴くほど味が出てくるのです。

交響曲もそうなのですがたった一曲作られた「チェロ協奏曲」は内省的で幻想的なイマジネーションのいっぱい詰まった傑作です。

シューマン独特の”もや”のかかったようなうっそうとした響きもチェロにはぴったりでこれほど美しい協奏曲もないでしょう。

1854年に精神の変調で突然ライン河に身を投じるのですが、この曲はその前の50年に作られ、この作品以降は目立った作品が残されていません。
いわば、シューマンの”白鳥の歌”とも言える生涯最後の傑作でした。

シューマンの精神の最後の輝きだったかも知れません

これほど美しい曲にシューマンの苦悩と狂気が込められていると思うとやるせない気分になるのは私だけでしょうか。
以前はめったに演奏されることはなかったのですが、最近はチェロ協奏曲の名曲として良く取り上げられ演奏されるようになりました。

ようやく時代がシューマンの芸術を理解し追いついたということでしょう。
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*シューマン:チェロ協奏曲イ短調作品129 スティーヴン・イッサリース(チェロ)


20、フチーク:コンサートワルツ「冬の嵐」

1872年にプラハで生まれたユリウス・フチークはチェコの作曲家です。
作品は300曲もあるそうですが、日本ではもっぱら「剣士の入場」と言う行進曲のみが有名ですね。名前を知らない方も一度聴いたら「あっサーカスの音楽だ!」と思い出すでしょう。

19世紀末のオーストリア=ハンガリー帝国の軍楽隊長を勤めたほどで行進曲も多く作曲しています。そのほかにはワルツも多くありJ.シュトラウスに匹敵するほどの優れたワルツやポルカが残っています。

私の持っているCDはノイマン指揮のチェコフィルのマーチ、ワルツ集です。

この中で最も印象に残ったのが、コンサートワルツ「冬の嵐」です。チャイコフスキーのような寒々とした冬の風景を想像したら肩透かしを食らうような明るい、雄渾な冬景色なのでちょっと驚きますが。

でもなぜか心に残る美しいメロディに溢れた佳作だと思いました。

フチークは1916年に亡くなるのですが、その2ヵ月後には皇帝フランツ・ヨーゼフが亡くなり18年にはその帝国も滅亡してしまいます。

19世紀末の貴族趣味の優雅な音楽は帝国の滅亡と共になくなり、新しい時代へと移り変わってゆくのですがその最後の輝きを感じるのは私だけの思い過ごしでしょうか?

ちょうど同じ演奏がYouTubuにありましたので、どうぞ鑑賞ください。きっと好きになる音楽だと思います。  【ページトップへ


バーツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団


21、ブクステフーデ:カンタータ「主は私の味方」〜長年探し求めて来た音楽!

嬉しいことがありました!長年探し求めて来た音楽にやっと巡り会えたのです。

20数年前、NHKFMの「朝のバロック」と言う番組を、毎朝カセットテープに録音していた頃、偶然に録音されていた曲が私の心をとらえたのです。

作曲家とカンタータとは分かったので、CDショップで目に付いたら買ったりしていたのですが一向にこの曲と出会うことがなく、すっかり諦めていました。

ところが最近はYouTubeで世界中のライブ映像がネットで見れるようになったので暇にまかせて、片っ端からブクステフーデのカンターターを鑑賞していたら、なんと同じメロディに行き着いたのです。

その時の嬉しかったこと!思わず椅子から飛び上がらんほどの嬉しさでした。

その曲とは:カンタータ「主は私の味方」BuxWV15 だったのです。

このカンタータの全曲は7分30秒ほどで、中間部分から「ハレルヤ」コーラスになるのです。だからネットではただ単に「ハレルヤ」のみの表示になっているので全く気がつきませんでした。

私の持っているカセットでは少年合唱団が歌っていて、その清らかな響きが心に染みわたるのですが混声合唱も美しいですね。特に後半のハレルヤは感動のあまり、ついつい涙が溢れてきそうになります。



これを探し出すまでは、音の悪いカセットテープで聴くしかなかったので本当に嬉しかったです。

ブクステフーデ (1637-1707)とはバッハ(1685-1750)が青年時代憧れて、彼のもとに教えを請いに出かけるほどのドイツバロックの巨匠です。それが事実だと分かるほどの名曲の宝庫ですが、残念ながら日本ではあまりCDなどが出ていません。

オルガン曲、カンタータ、ソナタなど青年バッハが心を奪われたほどの名作の宝庫です。

映像では全曲の分と、ハレルヤコーラスの部分のみのがありますが、そのどちらも感動的な音楽だと思います。

伴奏が室内オーケストラの比較的大きなものと、各楽器一名の小規模のもあるのですが、どれも美しく感動的なカンタータになっています。色んな解釈と編成があるのでどれも素晴らしくて、捨て難く4つも載せてしまいました。

どうぞお聴きになってバッハの師、ブクステフーデの音楽を充分に堪能してください!(文中の演奏家は Orchestra Anima Eterna です)   【ページトップへ

↑*バッハ・コンソート(モスクワ)2011年各パート一人で演奏しています*

*アレルヤ・コーラスのみの映像です。
accentus Insula orchestra 指揮:Laurence Equilbey


*ラテン系の元気のいい演奏です。色んな解釈が楽しめますね。


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*過去記事「名曲の森06-2  メニュー88”ブクステフーデとバッハ”」の項をごらん下さい

22、ABCラジオ「フレッシュ9時半!キダ・タローです」のテーマ曲

またまた、昔の曲探しの話題です。

その昔サラリーマンの頃、営業をしていたので、お得意先に行く車中でよく聴いたラジオ番組のテーマ曲を長い間探していました。

その番組はABCラジオ、「フレッシュ9時半!キダ・タローです」という毎朝月曜から金曜まであったラジオ番組のテーマ曲です。

アメリカの女性の澄んだ美しい声で、朗々と歌う音楽の素晴らしかったこと!本当に清々しい歌声で身も心もリフレッシュするほどの美しさでした。朝の幹線道路はほとんど毎日渋滞したので、この番組はイライラした気持ちをやわらげてくれたものです。

これは昭和46年頃から平成元年まで続いた長寿番組だったのですが、音楽家キダ・タロー氏の軽妙なお話と選曲の良さで、毎朝が楽しくなる本当に素晴らしい放送でした。

私はとうとう最後まで誰が歌っていてなんと言う曲なのかは分からなくて、また聴きたいなあと思い続けて今日まできてしまいました。

最近は、ブクステフーデのカンタータも探し当てて嬉しかったのですが、今日も偶然にまた再び出会うことが出来て本当に嬉しいです。

曲は"Dear Hearts And Gentle People"でDinah Shore (ダイナ・ショア)が歌っています。1950年の歌です。

知らないはずです。こんなに古い曲だったのですね。でも音はよく、アメリカのレコード技術の高さを思い知りました。(多分この音源はステレオだと思いますが)

        【ページトップへ】



*”blue canary” dinah shore日本ではこの歌のほうが有名でしたね。

 *
Jim Reeves - Dear Hearts and Gentle People この歌声も素敵ですね!



23、音楽の落穂拾い

この間から、音楽史の中で忘れられた作曲家のCDを中心にだいぶ購入して、聴いています。

例えば、フランス革命期に活躍したメユール(1763-1817)の交響曲全集(4曲)、デンマークのガーデ(1817-1890)の交響曲、ドイツロマン派のヨアヒム・ラフ(1822-82)の管弦楽曲、ロシアのルビンシュタインのバレエ曲、アイルランドのバックス(1883-1953)の交響曲、そしてノクターンの創始者といわれるジョン・フィールド(1782-1837)のピアノ協奏曲集、リャードフ(1855-1914)の管弦楽曲、ドイツのフランツ・シュミット(1874-1939)の交響曲全集(4曲)などなど。

CDのレーベルは、マルコポーロ、シャンドス、BIS、メロデイア
オーパスなどの海外盤です。

日本ではほとんど売れないCDだと思います。音楽史の脇を固める作曲家ばかりで実演でもFM放送でもめったに耳にかからない音楽なので、興味半分で買ってみました。

生年月日を見てもらえばわかると思いますが、モーツァルトの時代からベートーベン、そしてロマン派、近代音楽と各時代に生きた作曲家たちでした。

毎日聴いてきた結果を言うと、「どれもこれも新鮮味がなく、心を震わす美しいメロディにも乏しく、曲の展開もマンネリで最後まで聴き通すのがつらい」音楽ばかりでした。

ほとんど私の琴線に触れることなく、本当にがっかりの音楽ばかりだったのです。退屈してしまいました。

どうりで人気がないはずですね。音楽史的には意義のある作品かもしれませんが、じっくり鑑賞するにはちょっと苦労する音楽ではありました。

もしかしたら私の鑑賞力に問題があるのかもしれませんが、2回3回と聴きたいとは思いません。


こうして、改めて音楽史に登場する大作曲家の作品群の素晴らしさを思い知りました。バッハ、ヘンデル、モーツァルト、ハイドン、ベートーベン、ブラームス、シューマン、ショパン、など駄作がほとんどないのは本当に奇蹟的なことだったのですね。

どこを切っても同じ模様が現れる「金太郎飴」のような曲想のヴィヴァルディですら、ほとんど駄作がない天才に感じるほどです。

でも、今回買った中で唯一の例外だったのはデュカスのラ・ペリのバレエ音楽でした。有名な冒頭のファンファーレからそのオーケストレーションの巧みさに圧倒され、あとに続くバレエ音楽の神秘的な雰囲気に完全に魅了されたのです。
(デュカスが落穂とは思いませんが、あまりにも作品が少なすぎるので忘れ去ろうとされていますので・・・)

交響詩「魔法使いの弟子」で有名な作曲家ですが、作品の大部分を自ら廃棄してしまい、現在残っているのはほんの僅かなのが大いに惜しまれます。(もっと作品が残っていたらフランスを代表する作曲家になっていたでしょう。他の作曲家とは格が違うように感じました。)

今回大枚をはたいて多くの知らない作曲家の音楽を聴いてきましたが、ひょっとして今後、それらの良さに気がつくかもしれません。

これに懲りずに、何回も時間の許す限りじっくり聴いてゆこうとは思っています。
新しい発見があるかもしれません!
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*デュカス:バレエ「ラ・ペリ」/シャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団 



24、秋に寄せて〜フィギアスケートの音楽

11月16日、フィギアスケートGPシリーズ、ロシア大会で日本のエース・羽生弓結選手がショート演技でまたまた今期の世界最高得点をたたき出しました。

このあとフリーでも高得点をあげ、ぶっちぎりで優勝しました。

テレビで応援していてとても興奮したのですが、私はこの時(フリー演技)の音楽にとても魅了されたのです。

<秋に寄せて>とテレビ画面にフリップが出たので〜どんな曲かな、と耳を澄ませて聴いていると・・・ピアノのソロで静かに始まり、クライマックスにはオーケストラも入り、劇的に展開しそしてまた余韻を残すように静かに終わる美しい音楽でした。

序盤の感傷的な部分を経て次第に盛り上がる中間部は観客も演者も音楽と一体になるような熱気に溢れて、演者の技術をも高めるような音楽に魅了されたのです。

初めはクラシックの音楽かしらと思わせる優雅な響きで覆われていましたが、中盤にオーケストラが加わりポップなリズムに変わるのでこの曲がポピュラー曲だと知る事になります。

ネットでこの曲の作曲家を調べてみると、アルゼンチンの作曲家ラウル・ディ・ブラシオの作だと分かりました。

この曲はスケーターにとても人気があり多くの有名選手がバックミュージックとして使用していることも知りました。

      **********

スケートにおいては音楽の選曲がとても重要ですね、いい音楽だと演技する人も観客もその音楽の雰囲気と同化して、より大きな感動を得られるようです。

私は過去、フィギアスケートに取り上げられて今でも印象に残っているのは、プッチーニのトウーランドットからの「誰も寝てはならぬ」(荒川静香さん)、ラフマニノフの「鐘」(浅田真央さん)などの音楽です。

今回も<秋に寄せて>はこれからもずっと忘れないだろう印象深い音楽になりました。
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25、百万本のバラ〜こんな恋がしたい!

日本でも80年代に大ヒットした音楽ですね。ロシア語で聴くとまた雰囲気が違って聴こえます。
私はこの曲を聴くと音楽よりその歌詞にとても気を惹かれるのです。

百万本のバラ:久保田早紀


「信じてくれますか ひとりの若者が
 小さな家を売り バラを買いました
 信じてくれますか うそだと思うでしょう
 街中のバラを あなたに贈るなんて

  ※ バラを バラを バラをください
    ありったけのバラをください
    あなたの好きなバラの花で
    あなたを あなたを あなたを包みたい
    バラを バラを バラをください
    百万本のバラをください
    僕の 僕の 僕のこの命
    あなたに あなたに あなたに捧げたい

      貧しい絵描きの僕に できるのはひとつ
      何もかも捨てて あなたを思うこと
      誰も知らない 心のささやきを
      花びらに添えて あなたに贈りたい
      (※くりかえし)

       出会いは短く あなたはもういない
       あなたは踊り子 街からまた街へ
       夜汽車の窓べで あなたは想うだろう
       見えない愛の火が この世にあるのだと

         くるくる くるくる くるくる回る
         真っ赤なサテンのトウ・シューズ
         残った僕の熱い心には
         甘い思い出 心のしずく

            あなたに捧げたバラの花は
            枯れても 枯れても 枯れても我が命
            あなたの あなたの あなたの胸に咲く
            あなたの姿は遠く消えても

             僕の 僕の 僕の ある限り
             君への 君への 君への愛は
             燃えて 燃えて 燃えて 燃えるよ
             燃えて 燃えて 燃えて 燃えるよ」


この歌詞の素晴らしさ、恋する人のために全てをなげうって、心のおもむくままに行動する画家の純粋な思いに感動しました。

こんな恋が出来たら、どんなにすばらしいことだろう!そんな想像をしながら聴くとなぜだか涙が溢れてきます。

出来ないだろうとわかっているのに、こんな恋に憧れていた青春時代を思い出させるからです。こんな純粋な心で人生を送った”画家”はきっと幸せだったのでしょう!

そんなことを思いながら何度も何度も聴きたい音楽です!

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百万本のバラ:ロシア語
ロシアの女性歌手アーラ・プガチョワの1982年の大ヒット曲(映像中、時々アップで映る金髪黒服の女性がプガチョワです)。
歌はウクライナの歌手、
アニー・ロラック



26、バッハ、ブゾーニ編曲:シャコンヌ

最近、バッハのチェンバロ曲、オルガン曲など今まであまり聴かなかった分野に興味が出始めました。イタリア協奏曲やフランス組曲、イギリス組曲などチェンバロの原曲からピアノで弾いた曲など何種類も購入して聴いています。

そんな中で一番感銘を受けたのは、イタリアのブゾーニが無伴奏ヴァイオリンパルティータの第2番からピアノ曲に編曲した「シャコンヌ」です。

ヴァイオリンの奏法の限界に挑戦した原曲も鬼気迫る迫力ですが、ピアノのダイナミックスを最大限に駆使した編曲版はこれ一曲で”敬虔なる宇宙”を感じることが出来ます。

バッハの音楽はどんなに編曲されても、一種荘厳な雰囲気が漂い、この世にある悪や憎しみ争いから、心を解き放ち浄化する作用があるように感じます。これはストコフスキーによって編曲されたオーケストラ版も同じです。

暗い雲間から差し込む一条の光のように神々しく、聴くものを天上の世界に導くような魂の救いを与えてくれるようです。聴けば聴くほどその神々しさに打ち震えてしまいます。


なお、私の愛聴盤はワイセンベルクそしてファジル・サイのCDです。特にワイセンベルクの強烈なピアノタッチは心の中に鋭く突き刺さって来るようで、思わず涙が溢れてきそうになります。

この単純な主題と和音のどこがこのような感動をもたらせてくれるのでしょうか、おごそかで哀しく、何度聴いても魂を揺さぶられのは私だけでしょうか。

動画は2014年リストコンクールの優勝者:マリアム・バタシヴィリ(1993年ジョージアのトリビシ生まれ)の演奏です。

また楽譜を見ながら聴くとバッハの神業ともいえる作曲技法が垣間見れると思います。耳で聴くよりももっと感動が深くなると信じています。キーシンの演奏です。

*バッハ:ヴァイオリンの為の無伴奏パルティータ第2番より”シャコンヌ”
ブゾーニ:ピアノ編曲版
Bach/Busoni: Chaconne in D minor BWV 1004 - Mariam Batsashvili (piano)- Live concert HD


*バッハ=ブゾーニ編曲:シャコンヌ (楽譜つき)エウゲニー・キーシン:ピアノ

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27、モーツァルト:コンサート・ロンドKV382

モーツァルトのピアノ曲の中で最も好きな曲がこの曲です。しかもアルフレート・ブレンデル(ピアノ)/マリナー指揮アカデミー室内管弦楽団の演奏と言う条件付ですが。

この音楽が好きになったきっかけは、何十年も前、NHK/FMの「朝のバロック」と言う番組のテーマ音楽を聴いてからでした。

以前からこの曲は聴いて知っていましたが、このテンポ、間、伴奏の3拍子揃った名演にお目(耳)にかかれなかったので、印象にも残らなかったのでした。

それから毎朝6時からの放送の待ち遠しかったこと。このテーマ音楽を聴くと、一日が楽しく健康に過ごせそうな気分になれたのが不思議でした。

それほどこの演奏に魅了されたのです。これ以降色んな演奏のCDを集めて聴いてみましたが、テンポが早過ぎたり、伴奏がでしゃばりすぎたり、またピアノの音色がしっくりしなかったりで、このブレンデルのピアノに匹敵する演奏には出会いませんでした。

こうして、Youtube の録音を聴きなおしても、やはり昔の印象はいささかも変化ありません。今聴いても、何度聴いてもこの演奏が一番です!

ぜひ皆さまにも聴いていただきたく思い、探し出してこのHPに掲載しました。どうぞ最後までご鑑賞ください。私が気に入っていることがきっと分かっていただけると思います。
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*モーツァルト:コンサート・ロンド KV382
アルフレート・ブレンデル/マリナー指揮アカデミー室内管弦楽団



28、甘美なワルツ〜ワルトトイフェル:愛と春

フランスのパリ音楽院で学んだワルトトイフェル(1837-1915)はシュトラウス一家のようなウィーンの香り豊かなワルツではなく、どこか無国籍な良く言えば国際的で普遍的なワルツを多く作り上げました。

有名な「スケーターズ・ワルツ」「スペイン」「女学生」などで知られていますが、77年の生涯でなんと250曲もの管弦楽を作曲しています。マルコポーロ・レーベルで管弦楽全曲CDが発売されていましたが、今でも現役でしょうか?

さて、数ある音楽の中で、最も甘美な調べに満ちあふれた曲が今回ご紹介するワルツ「愛と春」です。

名前からして、フランスの甘美な恋愛映画の付随音楽のようですが、聴いた感想も全くそのようです。
動画でこの曲がありましたが、色んな編成に編曲されたものもありました。この演奏は比較的小編成の楽団で演奏しているようです。

でもこの音楽の雰囲気は全くオリジナルのままで美しい調べに思わずうっとりしてしまいます。

2曲目はソプラノの歌つきの演奏ですが、男声の曲も聴いたことがあります。この曲はフランスではとてもポピュラーだということが分かります。

ワルトトイフェルはパリのワルツ王と呼ばれていますが私は、どちらかと言うとワルツ王、ヨハン・シュトラウスの弟、ヨーゼフ・シュトラウスを彷彿とさせる抒情的な作風だと思いました。皆さまはどうお感じでしょうか?

では、どうぞ美しく可憐なヴァイオレットの花を鑑賞しながらお聴きください。
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*過去記事:「森の木陰1」の「21、女学生」の項目もごらん下さい!

ワルツ:愛と春(Amour & printemps, valse - Emile Waldteufel)
演奏:L'Orchestre National du Bolchoi, Pavel Klinitchev


ワルツ:愛と春(ソプラノ版)Lorraine Ouvrieu, soprano(1分59秒)



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29、ロシア民謡〜魂を揺さぶる歌声

山に雪が積もる頃は、ロシア民謡が聴きたくなりませんか。冷え冷えとした哀愁と郷愁が入り混じった音楽は冬の景色にぴったりです。

黒い瞳、カチューシャ、トロイカなどのロシア民謡はもう既に日本の曲のように、あらゆる所に浸透しています。ダークダックスやボ二−ジャックスなどの男性コーラス・グループが頻繁に取り上げていたのでとても有名になりましたね。

帝政ロシア、共産独裁のソビエト時代と、過酷な運命を余儀なくされた民衆の魂の叫びというべき民謡の数々が我々日本人の魂を揺さぶるのでしょう。

勇壮なコサックの舞踏音楽があるかと思えば、シベリアなどの極寒の地に島流しになった政治犯の悲痛な歌や、農民の男女が愛を語り合う甘美な調べがあったりで興味がつきません。

ロシア民謡は、西洋クラシックの伝統に沿った発声コーラスと民謡調の地唄発声の2種類があります。私は同じ曲を両方の発声法で聴きましたが、地唄発声のほうが土くさい民衆の魂の叫びを感じ、より感動が大きかったのを覚えています。

ウラルのぐみの木、行商人、スリコなど哀愁のメロディは心にびんびん響いてきます。

動画は:「鶴」と言う歌です。厳密にはロシア民謡ではありませんがメロディの美しい感動的な音楽です。

ソ連の詩人ガムザートフが1965年来日し、広島の原爆資料館を訪れた際に受けた衝撃をモチーフに書き上げた詩に曲がついた、1969年のソ連のヒット曲。映像は歌謡オーディション番組『Голос』より。歌は番組出場者のアレクサンドラ・ベリコヴァ(Александра Белякова)が歌っています。
悲しくも美しい反戦歌になっています。

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*鶴 (Журавли) (日本語字幕)




30、アリャビエフ:夜鳴きうぐいす(ナイチンゲール)

ロシア民謡とされている曲ですがこれは立派なクラシックの音楽に属します。

うぐいす”という曲で有名なアレクサンドル・アリャビエフ(1787年-1851年)はデカブリストの乱の協調者(冤罪とも言われている)としてシベリアに流刑されました。

当時の青年将校たちが遅れたロシアの改革を求めるクーデター、デカブリストの乱(1825年)を起こすのですが、失敗し多くの関係者がシベリアに流刑されたのです。

その中の一人にアリャビエフ(1787〜1851)がいました。この「夜鳴きうぐいす」は1826年に作曲されたとされていますが、まさに流刑地での心情を吐露した悲痛な曲です。
自由に飛び美しく歌う”うぐいす”にわが身を託して、傷心を慰めたものではないでしょうか。

このアリャビエフと「赤いサラファン」の作曲者ワルラモア(1801〜1848)らはロシア国民主義音楽の先駆的作曲家とされているとのことです。

歌詞を要約すると:
  【うぐいすよ 私のうぐいす 美声の鳥よ、
     おまえは どこへ飛んでいくのか?
        夜通し どこで鳴くのか?
     うぐいすよ わたしのうぐいす 美声の鳥よ
        飛んでいけ 私のうぐいす どんなに遠くまでも・・・】

そんな、流刑地に夜毎聞こえる”夜鳴きナイチンゲール”に涙しながら作曲したとされる哀しくも美しい曲です。

コロラチューラ・ソプラノの代表曲として有名な曲ですが、今回はピアノソロ(原曲でしょうか)と中国の児童合唱団の素晴らしい演奏もご紹介します。

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アリャビエフ:うぐいす ソプラノ:エディータ・グルベローヴァ
来日公演でこの曲を披露してくれましたが圧倒的な歌唱で聴衆を感動させてくれました!


*アリャビエフ:うぐいす ピアノ・ソロ:イエノ・ヤンドー
これが原曲なのでしょうか?とても美しい調べですね。


夜鶯(夜鳴きうぐいす):作曲:阿裏亞比耶夫(俄)
合唱:中國交響樂團附屬少年及女子合唱團
だいぶ以前の映像ですが、児童合唱団の素晴らしさに感動してしまいました!中国語で歌っています。



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31、ロシア民族舞踊団の優雅なダンス
 
ロシア民謡は日本人にはなじみのメロディーであらゆるところで歌われていますが、今回はロシア独特のダンスをご紹介します。

腰を低くし、腕を組みながら足を前に突き出す激しい民族舞踊「コサックダンス」は有名ですね。
では、このコサックダンスの対局ともいえるロシア生まれの不思議なダンス、ロシア民族舞踊団「ベリョースカ(Berezka)」がみせる超滑らかな不思議なダンスはご存知でしょうか?

民族舞踊団「ベリョースカ」は1948年にロシアで結成されたということです。この不思議で美しいパフォーマンスは瞬く間に人気を得て、今では海外にまでその名が広まったというのです。

歴史ある輝かしいキャリアもさることながら、何より注目すべきは独特のダンスです。まるで一本のチェーンが繋がって丸くなったり外れたりして舞台上を静かに流れてゆきます。

動画を見れば分かると思いますが・・・な、なんだこの優雅で滑らかな動きは!上体は全く身じろぎもしないのに、美しいマトリューシュカ人形が氷上を滑るかのように音楽にあわせて移動してゆくのです。

神秘的で不思議なダンス・・・美女たちが背筋をピンと伸ばしたまま、まるで空中に浮いているかのようにスーっと音もなく移動していく様はまるで夢をみているような気持ちになります。

見た目は地味な踊りのように思いますが、安定した動きを表現するために、きっとハードな練習を重ねているに違いないのでしょう。
動きを乱さずフォーメーションをキープし続ける点も見事で何度見ても美しく感動してしまいます。

こんな美しいチェーンならグルグルに巻かれてみたい!!と思わずにはいられません!

ロシア屈指の舞踊団がみせる不思議なダンス。どうぞ寒い冬の夜長にゆっくりお楽しみください。(三色のダンスをご覧下さい)

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*ロシア民族舞踊団「ベリョースカ」:
(青とシルバーの)ダンス



*ロシア民族舞踊団「ベリョースカ」
(赤い)ダンス



*民族舞踊団「ベリョースカ」
(白い)ダンス


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32、チャイコフスキー:バレエ「くるみ割り人形」

今日はクリスマス・イヴです。
日本中の子供たちは、サンタクロースが運んでくるプレゼントをさぞかし心待ちにしていることでしょうね。

こんな楽しいクリスマスにぴったりの名曲があります。それは・・・チャイコフスキーのバレエ「くるみ割り人形」です。

別にいつ聴いてもいいのですが、このバレエの物語が主人公クララのクリスマス・プレゼントに貰ったくるみ割り人形をめぐるお話なので、ちょうどクリスマスにはぴったりなのです。

実際にバレエを見ても巨大なクリスマスツリーのまわりでこの幻想的な出来事が起こります。

私はチャイコフスキーの3大バレエのうちでもこのバレエが一番好きです。物語の展開にも音楽にも全く無駄がなく、見るものを一時も飽きさせません。

愛らしい序曲についで、楽しいクリスマスを迎える昂揚した気分の子供たちの踊り、そして魔術師のドロッセルマイヤーが現われ、これから不思議なことが起こるのだろうと思わせる幻想的な音楽。・・・・・

ここまでで、見ているものはもう既にチャイコフスキー一流の音楽の魔術にかかってしまっています。

人形を抱いて寝静まったクリスマスの深夜、出現したネズミの妖怪に襲われたクララを助けるために大活躍する「くるみ割り人形」がネズミたちを打ち負かせる・・・。

ここで第1部は終わるのですが、人形は実は呪いをかけられていた王子だと分かり、彼の案内でお伽の国に入ってゆく第2部はもうメロディスト・チャイコフスキーの独壇場です。
90分足らずの簡潔なバレエですが、美しい音楽が次から次へと登場して全く時間のたつのを忘れさせてくれます。

全ての音楽が素晴らしいのですが、このバレエの最大の見せ場は「花のワルツ」ではないでしょうか?優雅で幻想的でなんと言っても音楽が充実しています。

その昔(1940年)に公開されたディズニーのアニメ「ファンタジア」でも「くるみ割り人形」からの音楽は印象深くいまだに忘れることが出来ません。

このバレエ「くるみ割り人形」はチャイコフスキーの最高傑作ではないでしょうか。
私はそう思います!
」    *(掲載のアニメ画は「ファンタジア」の花のワルツの一場面)

                 【ページトップへ

*くるみ割り人形より「花のワルツ」:ロシア・マリインスキーバレエ団

*過去記事:名曲の森05年のメニュー「43、くるみ割り人形」の項目もご覧下さい


33、世界各国で愛された行進曲

私は行進曲が好きで、中学時代ブラスバンドに入部したかったのですが、果たせずもっぱら聴くばかりですが、日本の軍艦行進曲からスーザ、タイケなどの行進曲、はいまだに大好きです。

ところが最近、下記のような素晴らしい行進曲を発見し、聴くなり大好きになりました。

その曲は「スラブ娘の別れ」と言う曲です。
この前半がメロディが美しいロシア民謡のような行進曲にもうぞっこんです。

「スラブ娘の別れ」(スラブむすめのわかれ、ロシア語: Прощание славянки)は、第一次世界大戦前夜の1912年に、ワシリー・アガプキンにより作曲された帝政ロシアの行進曲、愛国歌である。(共産軍の赤軍に対して”白軍”の軍歌だということです)

この曲は帝政ロシア時代に良く歌われた行進曲ですが、ソビエト時代にもそして、現在のロシア時代にも生き残り歌い続けられています。

名曲は時代を超えて生き残るという、証(あかし)ですね

ところでこの曲を調べてゆくうちに、驚くことが続々出てきました。この音楽はロシアだけではなく、ポーランドでもフィンランドでもイスラエルでも曲名こそ違えど、同じメロディーで歌われたり演奏されたりしているのです。

こうなるとこの行進曲は世界が共有する名行進曲といえるでしょうね。(ポーリシュカ・ポーレという曲を思い出しました)

私は決して戦争を美化するものではありませんが、この「愛する人」と別れる心情は世界共通のものです。二度とこのような悲痛な別れがないように祈るばかりです。

軍歌だと決め付けるのではなく、この音楽の素晴らしさを感じていただけたら嬉しく思います。

歌詞要約】 間もなく別れの時だ
          私の悲しい瞳をあなたは見つめる
           そして私は大切なあなたの息を感じる
        遠くではすでに嵐が吹きすさんでいる
           大気は霧の中で震えている
          そして不安は私の全てを覆う
        祖国は私たちに大きな行動を呼びかける
         連隊の行進から嵐が吹きすさぶ
 
        祖国よさらば  私たちを忘れないで
         さらば親しき者たちよ
         別れを許してください (くりかえし)
        ー 以下略 ー

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ワシリー・アガプキン作曲:行進曲「スラブ娘の別れ」
Farewell of Slavianka - Dina Garipova (ディーナ・ガリポーヴァ)& Alexandrov Ensemble (2013)

いかにもロシアらしい、軍人のいかめしい舞台ですが出てくる音楽は
哀愁を帯びたロシア民謡のような雰囲気の曲ですね

*【吹奏楽】スラブ娘の別れ(帝政ロシア行進曲)
陸上自衛隊東部方面音楽隊(2017年7月)





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